FXで避けるべき10の失敗例と成功のための対策方法
FXは適切な知識と戦略を持って臨めば魅力的な投資となりえます。しかし、必ず勝てるものではありません。大きなミスを犯さないよう、FXにおける失敗例とその対策、失敗する確率などについて学びましょう。
FX取引の失敗例とその対策方法
FX取引はリスクを伴います。しかし、事前に失敗から得た教訓を活かすことで損失を最小限に抑えることが可能です。ここでは、初心者トレーダーだけでなく、経験豊富なトレーダーにも該当する10の代表的な失敗例とその対策を見ていきます。
1. トレードプランがない
事前にトレードプラン、つまり取引に関するルールを立てないトレーダーは、FXで失敗する傾向にあります。トレードプランを立てないと、手探り状態のまま勘に頼った取引をするしかないからです。
例えば、「価格が下がったけど、そろそろ上がるだろう」、「価格が上がったけど、そろそろ下がるのではないか」といった場当たり的な取引です。このような取引は、当然スキルの向上にもつながりません。
運や勘に頼った取引では、長期的に利益を出し続けることは難しくなります。そして、いつかは感情的な取引をすることになります。感情的な取引は損切りができない心理状況を招き、最悪ロスカットになるような事態もあり得るため、非常にリスクが高いのです。
対策方法:取引前にトレードプランを立てる
取引をする前に、必ずトレードプランを立てるようにしましょう。トレードプランとは、長期的なスパンで勝つための取引戦略のことです。
トレードプランと言っても様々ですが、例えば「移動平均線がクロスしたらエントリーをする」、「価格が○○円になったら損切りをする」といったような、エントリーと決済に関する具体的な計画を立てることが特に大切です。
そして、取引前に立てたプランは、その取引が終了するまで必ず守るようにしましょう。
2. リスク管理が不十分
リスク管理が不十分だと、どれだけトレードプランを立てて取引をしても、長期的にはいつか失敗してしまいます。1回の取引で許容できない損失を負ってしまうと、取引を長く続けられず、トレードプランの期待値を発揮できないからです。
また、そのような大きな損失は、取引に対する恐怖や不安を引き起こす可能性が高くなります。恐怖や不安のような感情に惑わされたまま取引を続けると、冷静な判断力を欠き、さらなる損失を生む負の連鎖を招く原因となってしまいます。
対策方法:1回の取引の損失を決める
1回の取引で許容できる損失額を、取引開始前に決めておきましょう。そうすることで、1回の取引で想定以上の損失を被るリスクを回避しやすくなります。
損失額の目安としては、「2%ルール」というものがあります。2%ルールとは、1回の取引の損失額を投資資金の2%に設定するというものです。
FX初心者は、まずは証拠金額の2%を目安に損切り額を決めましょう。例えば、あなたの資金が100万円の場合、100万円の2%である2万円が1回の取引の損失額になるようにします。
そして、損切り額を決定したら、逆指値注文を設定します。逆指値注文を取引ごとに設定しておけば、許容できる以上の損失を被る確率が限りなく低くなり、長期に渡りトレードプランの期待値を最大限に発揮できます。
逆指値注文を活用する際のポイントは、価格が不利な方向へ変動したからといって、一度設定した水準を変えないことです。また、同時に複数のポジションを保有している場合は、全てのポジション込みで2%以内に損失額を設定しましょう。
3. リスクリワード比率の低い取引をしている
FXで失敗している人の中には、リスクリワード比率の低い取引を続けていることがよくあります。リスクリワード比率とは、損失額(リスク)と利益額(リワード)の割合です。
例えば、損失額が5万円で利益額が1万円の場合、リスクリワード比率は「利益額1万円÷損失額5万円=0.2」と計算することができます。リスクリワード比率が1以下ということは、利益額よりも損失額が高いことを意味します。
リスクリワード比率の低い取引を続けると、小さな利益をコツコツと積み上げておきながら、その利益を1回のミスでドカンと吹き飛ばしてしまう「コツコツドカン」を招く可能性が高くなります。そして、長期的には失敗する傾向があります。
対策方法:リスクリワード比率2以上の取引を意識する
FXで長期的に成功するためには、リスクリワード比率「2」以上の取引をすることを意識しましょう。リスクリワード比率が「2」以上であれば、コツコツドカンは発生しません。
リスクリワード比率「2」というのはあくまで目安であるため、それ以上の期待値を狙うとそれだけ失敗する確率が低くなります。
ただし、あまりにも高いリスクリワード比率を求めると、勝率が低くなってしまうため注意が必要です。勝率を50%前後でキープできるようなリスクリワード比率を求めて取引を続けることができると、FXで成功する確率を格段に高められるでしょう。
4. 高いレバレッジをかけてしまう
資金に余裕がない状態でFXを始めてしまうトレーダーも、失敗を招く傾向にあります。資金が不足しているとレバレッジが高くなりやすく、すぐにロスカットされるリスクが増すためです。
高いレバレッジを使えば少ない資金でも大きな利益を狙えます。しかし、高いレバレッジを活用した取引で勝ち続けるのは容易ではありません。高いレバレッジを活用すると、少しの値動きでロスカットされてしまう可能性が高いため、絶妙なタイミングでエントリーをしなければならないからです。
対策方法:余剰資金でFXを始める
自身の資産状況を把握し、失っても支障がない資金だけを使ってFXを始めることが大切です。余剰資金で取引をすれば、万が一連続で損切りになるようなことがあっても、一時的に休んで立て直すなどの対策を取ることができます。
また、余剰資金で取引を行うと、リスクと不確実性によって引き起こされるストレスを軽減することにもつながります。ストレスを軽減することは、トレードプランを守り続けるためにも大切です。
高いレバレッジを活用する場合は、余剰資金を複数の小口に分けて、大きいリスクにさらすのはその一部にとどめましょう。
5. 短期間に過剰な回数の取引をする
短期間で過剰な取引を繰り返してしまう、いわゆる「ポジポジ病」にかかるトレーダーも危険です。取引チャンスを逃していないか不安になり、その焦りから無計画な取引を行う確率が上がるからです。
取引で成功するためには、トレードプランに沿った質の高い取引を続けることが鍵になります。プランにない取引をおこなってしまうと、リスクを許容できる範囲を超えた損失を被ったり、心理的な不安定さが増したりする可能性があります。
対策方法:取引回数を絞る
ポジポジ病にかかるのを防ぐために、取引回数は絞るようにしましょう。取引回数を絞る方法は様々ですが、まずはじっくりと考えて編み出したトレードプランに沿った取引のみを行うのが一番です。
トレードプランに基づいた取引をするためには、チェックリストを利用することをおすすめします。エントリーをする理由やリスク条件など、自身のトレードプランを反映させたチェックリストを用意して、取引前に必ずチェック項目を満たしているかを確認するというものです。
常にポジションを保有するのではなく、トレードプランに沿った取引を続けることが、FXでの成功につながるということを忘れないようにしましょう。
6. 取引を複雑化しすぎる
FXでは様々なテクニカル分析を活用して相場状況を判断することができます。しかし、たくさんのテクニカル分析を活用したからといって勝率が高まるわけではありません。逆に、テクニカル分析が多岐に渡り判断材料が多くなってしまうと、エントリー時に迷う原因にもなり、取引判断が遅れることにもなりかねないのです。
特に、短期売買においてテクニカル分析を重視するトレーダーは、このような失敗を招く可能性が高いため、注意しなければなりません。
対策方法:シンプルな取引を行う
FXで取引を行ったり、トレードプランを立てたりする際は、できるだけシンプルに行うことを意識しましょう。具体的には、インジケーターやサポートライン・レジスタンスラインなどを使う際は、1つか2つ、多くても3つまでに絞って活用するのが望ましいです。
テクニカル分析を絞ると、それぞれの特徴やどのような場面で使うべきかを見極められるようになるというメリットもあります。
また、それぞれのテクニカル分析の相乗効果も意識するようにしましょう。同じような特性を持つテクニカル分析を組み合わせても効果が薄いため、各テクニカル分析の役割を理解して、しっかりと使いこなすことが大切です。
7. 情報に流されてしまう
近年、SNSやウェブサイトでFX関連の情報に簡単にアクセスできるようになりました。このような情報はFXをしていく上で非常に役立ちます。しかし、根拠のない噂やデータに流されて取引をすると失敗の原因となります。
特に、「必ず勝てる」、「絶対に今買うべき」、などといった過度な誇張を含む情報は信頼性に欠けるため、注意が必要です。
対策方法:情報は選んで利用する
SNSやウェブサイト上にある情報は必ずしも正しいとは限らないため、しっかりと選んだ上で取引に利用するようにしましょう。情報の選び方が分からないという方は、自身のトレードプランを軸にして、情報を補助的なツールのように利用するとうまく活用できるようになります。
いずれにしても、100%勝てる手法というものは存在しません。そのため、誇大広告を展開しているような場合は、まずは疑うようにしてください。
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8. プロセスではなく結果に固執する
多くのトレーダーが、「勝った」「負けた」という取引の結果に固執してしまいがちです。結果に固執すると、なぜうまくいったのか、何がうまくいかなかったのか、といった理由に目がいかなくなってしまいます。
取引のプロセスを振り返らないと改善点が分からず、長期的には失敗の確率が高まります。
対策方法:取引のプロセスを定期的に見直す
長期間に渡りFXで成功するためには、日々自身が行った取引のプロセスを見直すことが大切です。うまくいった理由、あるいはうまくいかなかった理由を探り、その分析結果をトレードプランの改善に活かすことで、取引の質をさらに高められます。
また、取引では常に自分自身の状況を把握し、取引前に立てたプランから外れる場合は軌道修正することも重要です。自身の取引を後で見返すことができるように、日々の取引の結果を記録として残しておくようにしましょう。
9. 多くの通貨ペアを取引してしまう
FXでは様々な通貨ペアを取引することができます。しかし、初心者が多くの通貨ペアを扱うのはおすすめできません。なぜなら、複数の通貨ペアの取引を行うと、情報収集やポジション管理が難しくなるからです。
例えば、4つも5つも通貨ペアを同時に取引すると、状況の変化に対応できず、利益確定や損切りのタイミングを逃してしまうリスクが高まります。また、初心者にとって難易度が高い通貨ペアもあります。最初は流動性が高く、情報収集が容易な通貨ペアを取引するとよいでしょう。
対策方法:ドル/円から取引する
FX初心者は、取引する通貨ペアをドル/円に絞るのがおすすめです。ドル/円は世界一の経済大国である米国の通貨であるドル、そして日本円の組み合わせであり、日本人にとってなじみがある上、情報も入手しやすいからです。
さらに、ドル/円は取引量が豊富で流動性が高く、値動きも安定しているため、価格変動リスクが比較的低いという特徴もあります。
FXでは様々な通貨ペアを取引できますが、複数の通貨ペアに手を出すのではなく、1~3つ程度の通貨ペアに絞ると、各ペアのクセを見極めるのにも役立ちます。そのため、FX初心者はドル/円の取引から始め、慣れてきたらユーロ/ドル、ユーロ/円などの他の主要通貨ペアでの取引に少しずつチャレンジしてみるとよいでしょう。
10. 取引する時間帯を決めていない
FXは取引時間の自由度が高く、基本的に平日は24時間取引することができます。しかし、取引する時間帯を決めておくべきです。というのも、時間帯ごとに値動きの大きさや突発的な急騰・急落のしやすさなどが異なるからです。
例えば、日本時間早朝は値動きが小さいものの、突発的な急騰や急落が起こるリスクがあることで知られています。取引する時間帯を事前に決めておかないと、このような時間帯の特徴をつかめず、安定して利益を得ることが難しくなる可能性があります。
FXの失敗率は?
ここまでFXの失敗例と対策方法について見てきましたが、実際にFXで失敗する確率はどの程度なのでしょうか。一つの指標として、金融先物取引業協会が公開している「預託金増減口座数割合情報」というデータがあります。
これは、FX(店頭外国為替証拠金取引)を行うユーザーの過去の状況を示すものです。
店頭外国為替証拠金取引/個別顧客区分管理金額正味増減口座数割合関連情報
(預託金増減口座数割合情報)
年度 | 期 | 減少口座割合 | 増加口座割合 |
2024 | 1 | 52.61 | 47.39 |
2023 | 4 | 49.23 | 50.77 |
2023 | 3 | 50.77 | 36.40 |
2023 | 2 | 49.97 | 50.03 |
2023 | 1 | 53.24 | 46.76 |
出所:金融先物取引業協会「預託金増減口座数割合情報」
最近のデータによると、減少口座割合は50~60%程度で推移しており、この数字を見る限りでは半数をわずかに上回る人がFXで失敗していると言えるでしょう。極端な数値ではないものの、利益を出せていないトレーダーが一定数存在する現状がある以上、よくある失敗例とその対策方法を学ぶことが重要です。
まとめ
ここまで、FXにおける失敗例とその対策方法、失敗する確率などについて解説してきました。FXに失敗はつきものですが、事前に失敗例を知ることで大きな損失を避けやすくなります。
例えば、トレードプランが無く、勘に頼った取引をしている人は、取引前に必ずトレードプランを立て、長期的なスパンで勝つことを目指すようにしてください。失敗例とその対策方法を学び、計画的に取引に取り組むことで、FXで成功する確率を高めましょう。
また、仮想マネーを使って取引の練習ができる無料デモ口座を活用して、リスクのない環境で経験を積むのも効果的です。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
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