米国株2か月続落、エヌビディア年初来19%安 相互関税と経済指標にらみ ナスダック100の見通し
米国株は2か月続落した。景気不安を抱え4月相場入りする。今週は経済指標にらみの1週間となろう。今日は3月ISM製造業景気指数が材料視される可能性がある。ナスダック100の見通しについて。

記事のサマリー
米国株は2か月続落した。トランプ関税の不確実性と景気不安を抱えたまま4月相場に入る。今週は経済指標にらみの展開となろう。今日は3月のISM製造業景気指数と2月のJOLTS求人件数が材料視される可能性がある。一時にせよ、これら経済指標で景気不安が後退する場合は、米国株の買い戻し要因となろう。一方、総じて市場予想を下回る内容が続けば株安を警戒したい。トランプ米政権が2日に公表する「相互関税」の詳細も変動要因となろう。ナスダック100の見通しと注目のテクニカルラインについて。
米国株 2か月続落、マグニフィセントセブン総崩れでナスダック下落拡大
3月の米国株は下落して終えた。2か月続落は2023年後半以来となる。これまで株高をけん引してきた主力のハイテク株が売られ、3月はナスダック総合指数と100指数の下落幅が拡大した。
米株価指数 月間の変動率:2023年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ナスダック指数の下落をけん引したマグニフィセントの年初来変動率を確認すると、すべての銘柄が下落しかつての輝きを失っていることが分かる。
マグニフィセントセブン 年初来の変動率

ブルームバーグのデータで筆者が作成
エヌビディア 成長懸念で年初来19%安
特に、かつてマグニフィセントセブンの勝ち組として注目された半導体大手エヌビディア(NVDA)の凋落が鮮明となっている。
2024年11月-2025年1月期決算は市場予想の平均を上回る内容だった。しかし、業績見通しで予想を下回った粗利益率やトランプ米政権による輸出規制の強化で同社に対する成長懸念が意識され、株価の下落率は年初来19%に達している(3月31日時点、上のチャート 赤ラインを参照)。
テクニカルの面でもエヌビディアの株価は弱気地合いにある。この点を週足チャートで確認すると、昨年4月の安値を基点としたサポートラインを完全に下方ブレイクしている。13週線と26週線はデッドクロスへ転じ52週線も下方ブレイク、かつ52週線がレジスタンスラインへ転換する兆しも見られる。
現在は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準105.22ドルがサポートラインとして意識されている。しかし、今の弱気相場の主因が成長懸念にある以上、その懸念を払しょくする材料、例えば次の決算で投資家の期待に応える成長見通しが示されるなどの好材料が出てこない限り、新たな下値の水準を見極める状況が続こう。今週の経済指標が米株安の要因となれば、節目の100ドルを下方ブレイクする展開を想定したい。100ドル以下の攻防となる場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準93.90ドルのトライを想定したい。
一方、米経済指標で景気不安が後退すれば、レジスタンスラインへ転換する兆しがある115ドルの攻防に注目したい。
エヌビディアの株価:週足 2024年以降

出所:TradingView

ブルームバーグのデータで筆者が作成
先月29日のIG米国レポートで指摘したとおり、4月後半は企業決算が材料視されるだろう。それまでは経済指標にらみの展開となろう。特に今週は、米国市場を動かす重要な経済指標が多く発表される。
今日の注目指標は、3月のISM製造業景気指数と2月のJOLTS求人件数となろう。現在の米国市場は「景気」がメインテーマにある。ゆえに、景気の先行指標であるISM製造業景気指数の内容が重要視される展開を想定したい。
ブルームバーグがまとめた市場予想によれば、3月のISM製造業景気指数は49.5と、2月の50.3から低下の見通しにある。各項目の指数にも注目したい。インフレに関連する支払い価格は62.4から64.6へ上昇する見通しにある。一方、景気の先行指標として注目される新規受注は48.6から48.4へ低下の見通しにある。雇用は2月に47.6まで落ち込み、景気判断の分かれ目である50を下回った。先月28日の経済指標-2月のPCEデフレーターと3月のミシガン大学消費者態度指数および期待インフレ率(確報値)でスタグフレーションの懸念がさらに強まっている。この状況で、製造業の活動が低迷する状況までが浮き彫りとなれば、米株安を警戒したい。
一方、米国株は短期的な売りの過熱感が意識されやすい状況にある。一時的にせよISM製造業景気指数で景気不安が後退すれば、米国株の買い戻し要因となろう。
2月JOLTS求人件数のブルームバーグ予想は765.5万件と、1月の774万件から減少の見通しにある。ISM製造業景気指数とともに市場予想を下振れる場合は、米株安を警戒したい。一方、2つの指標がともに予想以上の内容となれば、米国株の反発相場が続くと予想する。
トランプ米政権は2日、「相互関税」の詳細を発表する。今日の米国株が買い優勢となっても、相互関税の警戒感から上昇幅は限定的となることが予想される。
米国 ISM製造業景気指数:過去1年間の動向

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ナスダック100の見通しと注目のテクニカルライン
今週の上限は52週線を想定、まずは20日線の攻防に注目
市場参加者は、トランプ米政権の「相互関税」を警戒している。しかし、トランプ関税の方向性と全体像が判明すれば、関税リスクはひとまず後退する可能性があると筆者は考えている。今週の米経済指標で景気不安も後退すれば、米国株は調整の買い戻しを想定したい。特に、上で取り上げたマグニフィセントセブンは短期的な調整買いは、ナスダック100の反発要因となろう。
今週、ナスダック100が反発相場へ転じる場合は、レジスタンスラインへ転換する兆しのある52週線のトライとブレイクに注目したい。この移動平均線は現在、19,944ポイント付近で推移している。この移動平均線を今週の上限と想定し、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
最初の焦点は、レジスタンス転換の可能性がある19,400ポイントの突破となろう。45分足のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準19,369ポイントの上方ブレイクは、19,400ポイントをトライするサインとなろう。
ナスダック100が19,400ポイント台へ反発する場合は、45分足の半値戻しの水準と61.8%戻しの水準の攻防に注目したい。明日に相互関税の発表が控えているため、今日の市場で反発する場合は半値戻しまでの上昇を想定したい。
ナスダック100が61.8%の水準を突破する場合は、昨日時点で19,788レベルにある20日線のトライを想定したい。20日線の上方ブレイクは、予想レンジの上限である52週線をトライするサインと考えたい。
レジスタンスライン
・19,944:52週線、予想レンジの上限(週足)
・19,788:21日線(日足)
・19,721:61.8%戻し(45分足)
・19,545:半値戻し(45分足)
・19,400:レジスタンスライン(45分足)
・19,369:38.2%戻し(45分足)
18,000ポイントの維持が焦点に
ナスダック100は、2023年10月の安値を基点としたサポートラインを下方ブレイクしている。13週線と26週線はデッドクロスへ転じている。5週続落を止めたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準を下方ブレイクしている状況も考えるならば、テクニカルの面でナスダック100は弱気相場にある。
今週の米経済指標で景気不安がさらに強まれば、18,000ポイントの維持が今週の焦点となろう。テクニカルの面では、昨年8月の安値を基点としたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準18,572ポイント、2023年10月の安値を基点とした半値戻しの水準18,140ポイントの攻防に注目したい。
後者のテクニカルライン(半値戻し)の下方ブレイクは、予想レンジの下限18,000ポイントをトライするサインと考えたい。
サポートライン
・18,799:3月31日の安値
・18,572:76.4%戻し(週足)
・18,140:半値戻し(週足)
・18,000:予想レンジの下限(週足)
ナスダック100のチャート
週足:2023年9月以降

出所:TradingView
45分足:3月14日以降

出所:TradingView
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