アーム、強い成長見通し示せるか? 8日決算 世界の半導体株に影響も
アーム・ホールディングスの決算発表は4-6月の見通しが焦点。強い数字を示すことができれば2月の株価上昇の再現が期待される。
英半導体大手のアーム・ホールディングスが8日のアメリカ株式市場の取引時間終了後に行う2024年1-3月期決算発表では、4-6月期の成長見通しが焦点になりそうだ。アームは2月の前回決算発表で市場予想を超える見通しを示し、株価を大きく上昇させた。アームが今回も強気な見通しを示せば、株価上昇が再現される可能性がある。ただ、投資家は半導体市場の先行きに神経質になっており、アームの発表内容が世界の半導体株やソフトバンクグループ株のムードを暗くする筋書きも考えられる。
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アームの1-3月期決算は総収入が4割近く増加の見通し
アームは米国東部時間の8日午後5時(日本時間9日午前6時)に決算会見を開く。LSEGのデータによると、アームの1-3月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比38.23%増の8.75億ドルの見通し。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は0.31ドルとの見込みだ。いずれも10-12月期の実績を上回るとみられている。アームは9月に米ナスダック市場に米国預託証券(ADR)を上場。その後に発表した2度の四半期決算はいずれも、総収入と1株当たり利益が市場予想を上回っている。
アームの株価(ARM)は51ドルの公募価格で上場し、取引初日(9月14日)の終値は63.59ドルだった。その後、株価は70ドル台まで値を上げ、10-12月期決算発表を受けた2月8日に前日比約1.5倍にあたる113.89ドルまで急騰。12日には上場来高値の148.97ドルをつけている。ただ、その後は値を下げ、4月30日の終値は101.21ドルとなっている。
LSEGによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は64.41倍で、半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の32.70倍よりも大幅に割高といえる。アナリストが提示する目標株価の平均は114.03ドルで、現状よりも13%ほど高い。このところは目標株価を160ドルに引き上げる動きも出ている。29人のアナリストのうち、4人は強い買い、12人は買いを推奨。11人は維持、1人は売り、残る1人は強い売りを勧めている。
アームはAI向け半導体の需要拡大も追い風に
アームの株価が2月の決算発表後に急騰したのは1-3月期について強い見通しを示したからだ。総収入の見通しは8.50億-9.00億ドルとし、中間値の8.75億ドルは当時の市場予想の約7.8億ドルを上回った。また1株当たり利益は0.28-0.32ドルとの見通しを示し、やはり中間値の0.30ドルが当時の市場予想の0.21ドルを上回った。決算会見でレネ・ハースCEOは、人工知能(AI)開発やAIサービスの基盤となるデータセンターのために半導体が大量に必要とされる状況について「アームにとって強い追い風になっている」と述べた。
このため1-3月期決算発表に際しては、アームが見通しに沿った結果を残せているかが焦点。また、4-6月期についても改めて投資家の期待を超える数字を示すことができるかにも注目が集まる。LSEGによると、アームの4-6月期は総収入が8.54億ドル、1株当たり利益は0.30ドルになると見込まれている。
アームの決算はソフトバンクグループの株価に影響も
ただ、半導体企業の決算発表の内容をめぐっては、投資家は神経質になっている。半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)が4月18日に1-3月期決算を発表した際は、決算結果と4-6月期の見通しの両方が市場予想を超えたものの、世界の半導体市場の成長率についてTSMCとしての予想を引き下げたことが世界各国の半導体株を値下がりさせる結果となった。アームの株価もTSMC決算を経た19日に前日比16.90%安となっている。
アームはスマートフォン向け半導体で圧倒的なシェアを持っており、決算会見の中で、半導体市場の先行きを不安視させる材料があれば、世界の半導体株に悪影響が及ぶ可能性がある。また、アームの親会社のソフトバンクグループ(9984)にとってはアーム株は重要資産で、アームの株価が下落すればソフトバンクグループの株価が下落することも考えられそうだ。
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