オーストラリア物価は上昇減速か 11月CPI 豪ドル安基調復活も
10日発表のオーストラリアCPIは物価上昇減速の予想。11日発表の米CPIも豪ドル円相場に影響を及ぼしそうだ。
オーストラリア統計局が10日に発表する2023年11月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇の減速が確認される見通しだ。予想通りであれば、オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)が12月に決めた利上げ見送りを正当化する内容。RBAが2024年2月の理事会でも政策金利を据え置くとの観測を裏付けることになる。豪ドル円相場ではこのところ、オーストラリアの労働市場の底堅さなどを材料視した豪ドル高基調が進んでいたが、流れが豪ドル安に反転する可能性がある。また、11日に発表されるアメリカの12月CPIも豪ドル円相場に影響を及ぼしうるイベントとして重要度が高い。
オーストラリアの11月CPIは上昇率が4.4%へ低下の予想
オーストラリア統計局は10日午前11時30分(日本時間10日午前9時30分)に11月の消費者物価指数を発表する。ロイターがまとめたエコノミスト予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比4.4%となり、10月の4.9%から物価上昇が大きく減速すると見込まれている。総合指数の伸び率が予想通りになれば、2022年1月(4.0%)以来1年10か月ぶりの低さだ。
オーストラリアの物価上昇率は9月に5.6%まで上昇し、RBAは11月に5会合ぶりの利上げを強いられた。しかしRBAは12月の理事会では改めて利上げを見送っており、再び物価動向の先行きを見極める姿勢をとっている。11月CPIで実際に物価上昇減速が確認されれば、RBAが2月5、6日の理事会でも利上げを見送るとの観測が裏付けられそうだ。LSEGのデータによると、RBAが2月理事会で政策金利を据え置くことについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間9日午後の段階ですでに95%に達している。
豪ドル円相場では豪ドルが売られやすくなる可能性も
一方、豪ドル円相場(AUD/JPY)では12月半ば以降、豪ドル高の流れが目立っていた。11月の新規雇用者数が予想を超える伸びとなり、オーストラリア経済の過熱感が意識されて豪ドルが買われやすくなったことや、日本銀行が12月の金融政策決定会合でマイナス金利解除を見送り、円が売られやすくなったことが要因だ。しかし11月CPIの結果が物価上昇の大幅な減速を示した場合は、改めて豪ドル安圧力が強まる可能性がある。
また、豪ドル円相場の先行きには、アメリカで11日に発表される12月CPIの結果も影響を及ぼしそうだ。米国の物価上昇が減速したと受け止められ、FRBの早期利下げの確度が高まった場合には、ドルが売られやすくなる可能性がある。この際、豪ドルがドルに対して買われる度合いが、円がドルに対して買われる度合いよりも弱くなれば、やはり豪ドル安が進むという想定が成り立つ。実際、米国の長期金利(10年物米国債利回り)低下が材料視された8日以降の外国為替市場では、円高豪ドル安が進んだ。
ただ、RBAの2月理事会はあと1か月ほど先であるため、RBAからの明確なメッセージは当面は出てこないことが想定される。今後もRBAの思惑をめぐる観測が豪ドル円相場の流れを左右する場面が出てきそうだ。
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