英中銀、政策金利維持の公算 8月利下げ見通しも ポンド高沈静化?
BOEが9日に結果を示す理事会は今後の金融政策の方向性が焦点。物価上昇低下に自信をみせれば、ポンド高が落ち着く可能性も。
イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)が9日に結果を発表する理事会は政策金利が維持される見通しだ。ただ、英国の物価上昇率は低下が進んでおり、金融市場ではBOEが8月にも利下げに踏み切るとの見方もある。こうした中、BOEが理事会後の声明文などで、金融政策についてどのような今後の見通しを示すかが焦点になりそうだ。ポンド円相場では4月下旬に15年8か月ぶりのポンド高水準をつけたが、次第にポンド高圧力が弱まっていく可能性もある。
イギリス中銀は9日に政策金利維持を発表する見通し
BOEは9日正午(日本時間9日午後8時)に理事会の結果を発表する。ロイターがまとめたエコノミスト調査では61人全員が、政策金利が5.25%で維持されるとの見通しを示した。またLSEGのデータによると、投資家の動向から算出される政策金利据え置きの確率は、日本時間8日正午現在で91%だ。
ただ、英国では物価上昇率の低下が進んでおり、近く利下げが行われる可能性も取り沙汰されている。4月17日に発表された3月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数が前年同月比3.2%で、2月の3.4%から低下。食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は4.2%となり、こちらも2月(4.5%)から物価上昇が減速している。LSEGのデータによると、金融市場が見込む6月理事会での利下げ確率は40%。8月理事会までの利下げ確率は72%だ。
ただ、3月CPIの結果は物価上昇の減速を示しているとはいえ、総合指数、コア指数ともに事前予想を0.1%ポイント上回る結果だった。また、BOEが目標とする2%からはまだ距離があることも事実で、BOEが利下げに踏み切る自信が高まっていないことも考えられる。
ポンド円相場は日銀の金融政策の見通しでポンド高に
このため9日までの理事会では、声明文などでどのような金融政策の方向性が示されるかが注目点だ。BOEは3月21日に5会合連続での政策金利維持を発表した際は、政策金利について、「物価上昇率が2%超で定着するリスクが消えるまで、さらに長い期間、金融政策は引き締め的である必要がある」としていた。
一方、ポンド円相場(GBP/JPY GBP/JPY)では4月下旬、日本銀行の金融政策の方向性が材料になってポンド高が勢いづいた。日本が休日だった4月29日につけた1ポンド=200.76円は2008年8月28日(201.12円)以来のポンド高水準だ。日銀が26日までの金融政策決定会合で政策金利を維持し、植田和男総裁の会見が利上げまでには時間がかかるとの印象だったことが材料視された。その後、日本政府による為替介入とみられる値動きがあり、ポンド円相場は193円台で推移している。
BOEが9日に物価上昇率低下を前向きに評価し、利下げへの自信が感じられた場合にはポンド高圧力が弱まる見通しが強まりそうだ。逆に物価上昇への警戒感の強まりがみられれば、改めてポンド高圧力が高まる筋書きも考えられる。
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