ECBも0.25%利上げの公算 4日理事会 ペース減速でもユーロ高圧力か
ECBは4日に0.25%の利上げを決めるとみられている。利上げ幅は今回のサイクルで最小となる見通しだが、打ち止めには距離がある。
欧州中央銀行(ECB)は4日に開く理事会で利上げを決める公算が高い。利上げ幅は0.25%との見方が多く、2022年7月以降の利上げサイクルの中では最小となる見通しだ。背景には経済状況のわずかな変化がある。ユーロ圏の4月の消費者物価指数はコア指数の伸び率が鈍化しているほか、ユーロ圏内の銀行に対する資金需要が減少しているとの調査結果も出ている。ただしユーロ圏の物価上昇は根強く、利上げを打ち止めにできる状況からはまだ距離がある。ユーロの対円相場はECBの利上げを背景に14年7か月ぶりの高さに達しているが、今後もユーロ高圧力は続きそうだ。
4日のECB理事会での利上げ幅は0.25%に縮小か
ECBは日本時間4日午後9時15分に理事会の結果を発表する。ロイター通信が4月24日にまとめたエコノミスト69人に対する調査では5月4日決定の利上げ幅について、57人が0.25%だと予想している。金融情報会社リフィニティブのデータでも、利上げ幅が0.25%となる確率は日本時間4日午前11時30分現在で約78%と見積もられている。ECBが2022年7月から6回連続で決めてきた利上げの内訳は、4回が0.5%、2回が0.75%で、予想通りであれば利上げ幅が縮まることになる。
利上げベースが鈍化するという観測は最近の経済指標の裏付けがある。2日に発表された4月のユーロ圏の消費者物価指数(推計値)の前年同月比伸び率は7.0%で、3月の6.9%からわずかに上昇。ただし食品とエネルギー、酒類、たばこを除いたコア指数では5.6%となり、3月の5.7%から低下した。コア指数の伸び率が前月を下回るのは、2022年6月以来10か月ぶりだ。
銀行への資金需要減少の調査結果も
またECBが3日に発表した銀行融資に関する1-3月期の調査では、資金需要が増加したと答えた銀行の割合から、減少したと答えた銀行の割合を引いた数値がマイナス38となった。2022年10-12月期(マイナス12)から大幅に低下しており、資金需要の減少が示されている。ECBは「需要減少の最大の要因は金融引き締めの中での金利水準の高さ」だとしている。
ECBは前回(3月16日)の理事会では、米国発の金融システム不安が欧州でもスイスの金融大手クレディ・スイスの経営問題に発展する中、事前予告通りに0.5%の利上げを断行した。一方、理事会後に発表した声明では5月に利上げを行うかどうかは明言していなかったが、市場では約1か月半たった現時点で、利上げの必要性は幾分薄れているとの見方が大勢のようだ。
ECBは6月も利上げとの見方が大勢
ただしユーロ圏の物価上昇圧力は、3日に連邦準備制度理事会(FRB)が0.25%の利上げを決めた米国と比べても根強さが感じられ、目標とする2%まで引き下げる道筋は見えていない。ロイター通信のエコノミスト調査では、ECBは6月の理事会でも利上げを決めると予想されている。
ユーロの対円相場(チャート)はユーロ高が続いており、日本銀行が4月の金融政策決定会合で大規模金融緩和の維持を決めた後にはさらにユーロ高が加速した。2日には一時、1ユーロ=151.61円をつけ、リーマン・ショック時にユーロが160円台からの下落を続けていた2008年9月29日以来の水準となっている。ユーロ圏の物価高は引き続き、ユーロ買い圧力を維持する要因となりそうだ。
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