ECB、政策金利維持濃厚 利下げに慎重 ユーロ高圧力の転換はあるか
ECBの7日の理事会は政策金利維持が確実。ただしラガルド総裁の記者会見や経済見通しの結果次第で、ユーロ安の展開も。
欧州中央銀行(ECB)が7日に開く理事会では政策金利が維持されることが確実視されている。ユーロ圏の物価上昇率は低下傾向にあるが根強さもあり、ECBは引き続き利下げには慎重姿勢を維持しているもよう。ユーロ円相場でのユーロ高圧力に変化を及ぼさないとみられる。このため焦点となるのは、理事会後のクリスティーヌ・ラガルド総裁の記者会見や、理事会の結果と合わせて公表される経済見通しの内容。利下げに踏み切る環境が整うシナリオが感じられれば、ユーロ安圧力として働く可能性もありそうだ。
ECBの3月理事会での政策金利維持の確率は94%
ECBはドイツ時間7日午後2時15分(日本時間7日午後10時15分)に理事会の結果を発表する。ロイターがまとめた調査機関へのアンケートでは73社すべてが政策金利維持を見込んでいる。また、LSEGのデータによると、3月理事会での政策金利維持について投資家の動向から算出される確率は、日本時間5日午後2時段階で94%。4月までの利下げの確率は20%、6月までの利下げ確率は74%と見込まれている。
3月理事会に関し、ECBの政策金利維持が確実視されているのはユーロ圏の物価上昇が根強いためだ。1日に発表された2月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数で前年同月比2.6%、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数で3.1%だった。事前予想はそれぞれ2.5%と2.9%で、想定したほどには物価上昇が減速しなかったといえる。
ECBは2023年9月まで利上げを進め、11月にはCPI総合指数の伸び率が2.4%まで低下するといった成果を達成。10月、12月、1月の理事会では利上げを見送っている。しかしラガルド氏は利下げに踏み切ることには慎重で、2月15日の公聴会では「物価上昇率が2%で持続することに自信を持つ必要がある」と述べていた。
ユーロ円相場は2008年8月以来の高値も近づく
こうした中、ユーロ円相場(EUR/JPY)ではユーロ高圧力が続いている。2月CPIが発表された3月1日のユーロ円相場は、前日から0.66円の円安ユーロ高が進み、週明け4日も0.69円の円安ユーロ高となった。7日のECB理事会で政策金利の維持が決まれば、こうしたユーロ高圧力が継続すると見込まれる。11月16日の取引時間中につけた1ユーロ=164.30円を超え、2008年8月以来のユーロ高水準となることも考えられそうだ。
経済見通しで物価上昇沈静化のシナリオ描けるか
ただし、ラガルド氏の記者会見や経済見通しの結果次第では、ECBが利下げに踏み切ることへの期待が高まる可能性もある。ユーロ圏経済は2023年10-12月期の実質成長率が前期比0.0%(年率換算0.2%)になるなど低成長に直面しており、利下げで経済を活性化させる必要性があることも事実だからだ。ECBは12月時点の経済見通しでは、CPI総合指数伸び率について2024年は2.7%、2025年は2.1%と予想していたが、こうした見通しが物価上昇率が落ち着く方向で修正されれば、ECBが利下げを決断しやすい環境が整うとして、金融市場が想定する利下げの確度が高まることも想定されそうだ。
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