JPモルガン、増収増益予想 14日決算 米FRB利上げは逆風か
JPモルガンの4-6月期決算は増収増益の予想。株価は上昇基調だが、米FRBの利上げが今後の業績を下押しする可能性もある。
JPモルガン・チェースが14日の取引時間前に発表する2023年4-6月期決算は増収増益が見込まれている。3月以降に相次いだ地銀の経営破綻で火が付いた銀行システムの健全性への不安は5月に入って沈静化。なかでも破綻銀行を救済する側に回ったJPモルガンは決算でも強さを示すとみられている。ただし米連邦準備制度理事会(FRB)はこのところ利上げ継続姿勢を強めており、今後は金利収益が圧迫される懸念もある。また、今後の米国経済の先行き次第では、JPモルガンの業績や株価に逆風が吹く可能性もある。
JPモルガンの2023年4-6月期決算は日本時間14日夜発表
JPモルガンは14日午前7時(日本時間午後8時)ごろに4-6月期決算を発表する。決算会見は日本時間14日午後9時30分に予定されている。金融情報会社リフィニティブのデータによると、JPモルガンの4-6月期決算に関する市場予想は総収入が前年同期比23.2%増の389.65億ドル。1株当たり利益は45.7%増の4.02ドルと予想されている。JPモルガンは過去13回の四半期決算のうち、総収入が事前予想を下回ったのは2回。1株当たり利益では3回で事前予想を超えられなかった。
JPモルガンの株価(JPM)は2021年10月に高値を付けた後、約1年間は株価が下落基調をたどった。しかしその後は回復基調となり、2023年3月10日のシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻後の銀行株下落からも復活している。7月6日の終値は143.21ドルで、2022年10月の底値からの上昇率は43.6%。同じ期間のS&P500種株価指数の上昇率(22.9%)を上回っている。
リフィニティブによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は10.1倍で、同じ大手金融グループのゴールドマン・サックス・グループ(9.6倍、GS)やバンク・オブ・アメリカ(8.5倍、BAC)よりはやや割高。モルガン・スタンレー(12.0倍、MS)よりはやや割安といった水準だ。アナリストが提示する目標株価の平均は160.78ドルで、27人のうち5人が強い買い、15人が買いを推奨している。残り7人は維持を勧めている。
JPモルガンは銀行不安の拡大抑制に貢献
JPモルガンは1-3月期決算で金利収益が伸びるなどして、市場予想を大きく上回る好業績を示した。米FRBによる利上げで金利水準が上がり、融資の際の金利を高くできたことなどが理由だ。また、JPモルガンは5月1日に経営破綻したファースト・リパブリック銀行を救済。すべての預金を引き継いで銀行不安の拡大抑制に一役買ったとともに、営業拠点網を拡大させており、経営体力の十分さをみせつけている。
ただ、このところ米FRBによる利上げが長引くとの見方が浸透してきたことは銀行業界全体にとって逆風となりえる。高い金利水準が長引けば、銀行は預金金利を引き上げなければ預金を維持できなくなり、収益性が圧迫されるおそれもあるからだ。JPモルガンの4-6月期の金利収益は1-3月期から2%程度の増加にとどまると予想されており、勢いがかげる可能性がある。
またFRBの利上げによって米国の景気が減速すれば、企業や個人からの資金需要が落ち込み、銀行業界にとって収益を上げにくい環境になることもありえる。JPモルガンの業績や株価は米国経済全体の動向の影響を受けることになりそうだ。
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