米金利5%台目前 16年ぶり水準視野 S&P500上昇の重荷に
2年物米国債の利回りが4.940%をつけ、2007年以来の水準が迫る。値上がりしてきた米国株にとっては不安材料だ。
米国の金利上昇が改めて勢いづいている。2年物米国債の利回りは3日のニューヨーク市場での取引終了時点で4.940%となり、5%台が目前に迫った。今後、3月8日につけた5.066%を超えれば、16年ぶりの高さになる。背景には米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続姿勢があり、金利の先高観は根強い。一方、米国の株式市場では5月以降の金利の上昇にも関わらず、株価が値上がりしてきた。ただし金利上昇が株価にとって下落圧力となることは避けられず、投資家心理に悪影響を及ぼす可能性もある。
2年物米国債の利回りが4.940%に
金融情報会社リフィニティブのデータによると、2年物米国債の利回りが4.9%台で取引を終えるのはシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻前日の3月9日以来。前日の8日につけた5.066%は、2007年6月14日(5.098%)以来の高さだっただけに、米国の金利水準が16年ぶりの高水準に迫っているといえる。
利回り上昇の背景にあるのは、米FRBの利上げ姿勢だ。CMEグループのデータによると、7月25、26日の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利上げについて、投資家の動向から算出される確率は、日本時間4日午後1時30分すぎの時点で89.9%。年内2回の利上げについての確率は約36%となっている。これらの確率は、6月14日のFOMCで利上げが見送られると同時に年内2回の利上げが示唆された段階では、それぞれ65%と6%程度の高さだった。投資家がFRBの利上げを織り込んでいくにつれて、米国債の利回りも高まっている。
金利上昇でも米国は株高
一方、金利水準の高まりにも関わらず、米国の株式市場は上昇を続けてきた。2年物国債の直近の利回り上昇が始まったのは、ファースト・リパブリック銀行の経営破綻処理が決まった後の5月5日から。利回りは7月3日までに約1.2%も高くなっている。しかしこの間もS&P500種株価指数は約10%値上がり。6月8日には強気相場入りも果たしている。金利上昇が企業活動や消費を抑え、業績に悪影響がでるという不安を感じさせない値動きだ。
ただ、金利上昇が株価にとって不利な条件であることは確かだ。S&P500は2022年1月3日に史上最高値(4796.56)をつけたが、3月以降のFRBの利上げを背景にして値下がりしていった。これに対して2022年秋以降の株価上昇は、米国の物価上昇がピークをつけて金利の先高観が緩んだことや、地銀破綻の影響で金利水準が一気に下がった時期と重なっている。
FRBが年内2回の利上げを強調している以上、投資家の脳裏に株価の先行きに対する不安は残り続ける。このまま金利水準が上がっていけば、不安がさらに膨らんでいく可能性もありそうだ。
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