円安圧力衰えず FRB議長が物価への油断戒め 金利反発で151円
FRBの物価上昇への警戒が長期金利高と円安ドル高圧力を持続させている。先行きは経済や政治の情勢にかかっていそうだ。
外国為替市場での円安ドル高圧力が衰えていない。9日のニューヨーク外国為替市場の円相場の終値は7営業日ぶりの1ドル=151円台。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長がワシントンDCでのスピーチで物価上昇沈静化への楽観論に警鐘を鳴らし、長期金利(10年物米国債利回り)の上昇につながったことが影響した。ただし長期金利は10月下旬の約5%からは低下しているうえ、ドル円相場が2022年10月の為替介入が行われた水準に近づく中、円安ドル高のペースは減速している。今後の経済指標や政治情勢の変化で相場が反転する可能性も残っていそうだ。
ドル円相場が7営業日ぶりの151円台に
9日のドル円相場(USD/JPY)の終値は1ドル=151.34円で、前日比0.37円の円安ドル高となった。終値の151円台は10月31日以来。ドル円相場は7日までは取引時間中に149円台をつける場面もあったが、改めて円安ドル高の動きが強まっている。
9日の円安ドル高を後押ししたのは、パウエル氏のスピーチだ。パウエル氏は国際通貨基金(IMF)主催のイベントで、「物価上昇率を(目標の)2%まで持続的に下げるプロセスは今後も長く続く」との見通しを強調。過去にも物価上昇沈静化の兆しが出た後に物価上昇が再加速した事例があることを踏まえ、「追加的な金融引き締めが適切になった場合は躊躇なく実行する」と述べた。アメリカの金利上昇の可能性を感じさせる内容で、9日のニューヨーク債券市場の長期金利の終値は、前日よりも0.107%ポイント高い、4.630%となった。
ただし米国の長期金利の上昇と円安ドル高の流れには減速感もみられる。長期金利は4月につけた3.2%台から10月半ばの約5.0%まで一気に駆け上がってきたが、11月に入ってからは4.4%台まで下がる場面も出ていた。パウエル氏が1日の記者会見で物価上昇の減速を前向きに評価したことや、3日発表の10月の雇用統計で労働市場の過熱感が和らいでいたためだ。
また、ドル円相場では3月の130円台から足元の151円台まで20円以上の円安ドル高が進んでいるものの、9月下旬以降に限れば150円を挟んだ膠着状態だ。日本政府は2022年10月21日にドル円相場が151.94円に達した段階で円買いドル売り介入を行った経緯もあり、ドルを買い進める取引に慎重感が出ている。
2007年は長期金利低下と円高が同時に進行
歴史的な高水準にある米国の長期金利がどこまで続くかは不透明だ。米国の長期金利は2007年7月にも5%を超えていたが、その後はFRBの利下げ開始に先んじて低下が進んだ。同時に、当初120円台だったドル円相場では、リーマン・ショックの約半年前にあたる2008年3月までに100円を割り込む水準までの円高ドル安が進んでいる。
足元の米国経済は2023年7-9月期の実質成長率が前期比年率4.9%となるなど好調だが、10-12月期は減速も予想されている。パウエル氏は物価上昇への警戒を緩めていないとはいえ、14日発表の10月の消費者物価指数(CPI)の結果が弱かった場合は、長期金利が低下することも想定される。この場合はドル円相場が円高ドル安方向に進む可能性もありそうだ。
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