円高進行、一時153円台 日米金利差縮小 トランプ関税の見通しは?
ドル円相場は30日に153円台まで円高が進行。日米金利差縮小が要因だが、トランプ氏が2月1日実施を明言している高関税政策の行方も注目される。
ドル円相場で円高が進行した。30日の取引では一時、1ドル=153円台後半をつけ、中国企業の人工知能(AI)開発が金融市場を揺らした27日以来の円高水準となった。日米の長期金利(10年物国債利回り)が1か月半ぶりの小ささに縮小したことが背景だ。一方、FX市場ではアメリカのドナルド・トランプ大統領が明言している2月1日からの高関税政策にも注目が集まる。トランプ氏がカナダやメキシコに対する追加関税に踏み切れば、ドル高要因として意識され、ドル円相場を円安方向に動かしかねない。トランプ政権は現在もカナダやメキシコとの協議を続けているもようで、今後の見通しをめぐっては、トランプ氏の情報発信でドル円相場が神経質な動きをみせることも考えられる。
ドル円相場は一時、153円台後半 1か月半ぶりの円高水準が視野に
ドル円相場(USD/JPY)は30日の取引で一時、1ドル=153.79円をつけた。ブルームバーグによると、中国のAI開発企業「DeepSeek(ディープシーク)」が低コストで高性能のAIを開発したとのニュースが金融市場を揺らした27日につけた153.72円以来の円高水準だ。円高見通しがさらに強まれば、2024年12月18日以来、約1か月半ぶりとなる153円台前半も視野に入る。
日米の金利差は12月中旬以来の小ささに 日銀利上げで日本の長期金利上昇
30日の円高進行の背景には日米金利差の縮小がある。ブルームバーグによると、日米の長期金利の差は30日終値時点で3.308%ポイント。12月12日(3.286%ポイント)以来の小ささになっている。日本の長期金利は、日本銀行が24日に政策金利を0.5%に引き上げて以降、2011年5月以来の水準である1.2%台で推移。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が29日に利下げ見送りを決めた米国の長期金利は4.5%台で大きな動きは出ていないが、14日につけた4.8%台からは低下している。
米国の10-12月期GDP成長率が予想を下回ったことも円高要因に
また、米商務省が30日に発表したアメリカの2024年10-12月期の実質GDP成長率が前期比年率2.3%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.6%を下回ったことも、ドル円相場で円高見通しを強める材料となった。
トランプ氏のカナダ、メキシコへの高関税の見通しは? 2月1日の期限迫る
ただ、ドル円相場の今後の見通しは、トランプ氏の関税政策でも左右されそうだ。トランプ氏は就任初日の20日にカナダとメキシコに対して25%の追加関税を2月1日から課すことを検討していると発言。就任後に154円台後半まで円高に振れていたドル円相場を、156円台まで円安方向に動かした。
米メディアによると、トランプ氏は30日午後にも記者団に対して、カナダとメキシコからの輸入品にそれぞれ25%の関税をかけるとの見通しを示した。トランプ氏はカナダやメキシコを経由した不法移民や合成薬物「フェンタニル」の米国内への流入を問題視している。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ政権は関税をかける輸入品目の範囲や交渉継続のための猶予期間を設けるかなども含め、実施を検討していると報じている。
ドル円相場の見通しはトランプ氏の情報発信が左右か
米商務省によると、メキシコとカナダは米国の貿易相手国として1位と2位。2024年11月のデータではメキシコとの貿易量は米国の貿易量全体の15.4%、カナダとの貿易量は13.8%を占める。なかでもカナダは米国が輸入する原油の6割を供給しており、カナダ産原油に対する高関税が実施されれば、ガソリン価格の上昇を引き起こし、消費者生活に影響が及ぶ見通しも強まる。
今後のドル円相場をめぐっては、日米の金利差縮小による円高圧力は続くものの、トランプ氏の発言やSNSへの投稿などで、円高方向にも円安方向にも急進する可能性がありそうだ。
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