日経平均に新たな逆風 S&P500下落拡大 米国債ショック長引くか
米国債格下げが起こした米国株下落は日経平均にとって逆風。2011年の格下げ時のように早期回復できるかは不透明だ。
日経平均株価に、米株式相場の急落という新たな逆風が吹いた。S&P500種株価指数の週次での下落率は2%を超え、3月の地銀破綻時以来の大きさ。米国時間の1日夕方に発表された米国債の格下げを機に金利水準が上昇したことが要因だ。日経平均も米国債格下げ後に急落しており、7月28日の日本銀行によるイールド・カーブ・コントロール(YCC)修正では揺らがなかった市場心理が悪化したようだ。2011年の米国債格下げ時は株価は早期に立ち直ったが、今回は異なる展開をたどる可能性もある。
S&P500種は週次で2.3%下落 日経平均も1.7%安
日本株の動向と関連性が高いS&P500(SPX)の4日の終値は、4営業日続落の4478.03。週次での下落率は2.3%で、シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻があった3月6-10日週の4.5%以来の大きさだ。きっかけは1日夕方に格付け会社のフィッチ・レーティングスが発表した米国債の格下げ。米国債の価格下落で、長期金利(10年物米国債の利回り)が上昇し、株価下落の原因となった。
こうした中、日経平均株価(N225)も週次で1.7%下落した。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続が不安視された7月3-7日週(2.4%下落)以来の下落率だ。米国債格下げが伝わった2日は前日比768円安、翌3日も548円安となり、投資家の不安が急拡大したもようだ。一方、日経平均は7月28日のYCC修正を受けた、31日と8月1日は大きく値上がりしていた。日銀の植田和男総裁がYCCを修正しながらも、大規模金融緩和の維持を強調したことが安心材料となっていたが、米国債格下げという新たな材料で風向きが一気に変わった形だ。
2011年の米国債格付け時は株価は素早く立ち直り
このため日経平均株価の行方は米国債の格下げショックがどこまで長引くかにかかってくる。2011年8月5日夜に格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(現S&Pグローバル・レーティング)が米国債の格付けを引き下げた際は、S&P500は週明けの8月8日に6.7%下落したが、翌9日は4.7%上昇し、素早い立ち直りをみせた。このため今回の格下げショックも株式相場への影響は短期間で終わることも想定される。
ただし2011年の格下げはS&P500が年初来で4%超下落したタイミングで発表されたのに対し、今回は年初来で19%も上昇するなかでの格下げだった。現在の株式市場では株価の割高感への警戒もあり、格下げが株価調整のきっかけになることも想定される。4日に発表された7月の雇用統計は米国経済の軟着陸(ソフトランディング)を期待させる内容だったが、S&P500は下落した。
米国株の下落が長引けば、日本株への下押し圧力も続く可能性がある。日銀のYCC修正が金融市場にもたらす影響が外国為替市場などでこれから顕在化することも考えられ、日経平均の先行きも不透明感が増しているといえそうだ。
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