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SVB破綻後はグロース株優位 バリュー株しのぐ 値上がり・値下がり銘柄は?

SVB破綻後、グロース株の反発がバリュー株をしのいでいる。長期金利低下を背景にエヌビディアやテスラなどの株価が上昇している。

出所:ブルームバーグ

シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻を機に金融システム不安が広がった米国の株式市場で、高い成長性が期待されるグロース株が好調だ。SVB経営破綻後の2週間、S&P500種のグロース株指数は反発し、株価の割安さが魅力のバリュー株を上回るパフォーマンスを示している。代表的な個別銘柄でもアップルやNVIDIA(エヌビディア)、テスラなどの値上がりが目立つ。背景には金融システム不安で長期金利が低下したことがあり、今後も米国債市場の動向次第で株価が動く可能性がある。

グロース株指数は2週間で1.047倍

S&P500種株価指数を算出しているS&Pグローバルは、構成銘柄のグロース株らしさとバリュー株らしさをランク付けし、時価総額も考慮してグロース株とバリュー株の動向を示す指数を算出している。グロース株らしさとバリュー株らしさは、各銘柄の売上高や利益、株価の水準などに基づいて判定。売上高の成長性が高ければグロース株らしいとみなし、利益に比べて株価が安いと判断されればバリュー株らしいとみなすといった具合だ。グロース株らしいともバリュー株らしいともいえる銘柄の株価は、両方の指数に部分的に反映される。

24日のグロース株指数は2504.71で、SVBが経営破綻した10日時点の水準の1.047倍。バリュー株指数の1.008倍を大きく上回った。いずれの指数も10日までは、SVBの巨額損失計上による不安の高まりの中で下落していたが、SVBの経営破綻決定後、グロース株はバリュー株よりも力強く反発している。

アップル、テスラ、エヌビディアが値上がり

個別の銘柄でみてもグロース株の優位が際立つ。IT企業が多いグロース株の代表格であるアップルの株価は24日、SVB破綻時の1.08倍となった。またテスラの株価はこれまで、新型車の発表がないことが悪材料とされて下落してきたが、SVB破綻を境に反転。半導体大手で人工知能(AI)関連事業の強化が注目されるエヌビディアも株価が勢いづいている。

一方、バリュー株の代表格であるウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイは株価が下落。金融大手のJPモルガン・チェースも株価が値下がりしている。また流通大手のウォルマートは金融業の2社とは異なり株価は上がっているが、グロース株には見劣りする。

長期金利低下と米国経済の先行き不安が影響

グロース株の勢いの背景にあるのは、SVBの経営破綻で長期金利(10年物米国債の利回り)が低下したことだ。金融情報会社リフィニティブのデータによると、SVB経営破綻前日の9日に約3.9%だった長期金利は24日には約3.4%まで下がった。金融システム不安が米国の経済活動を弱め、米連邦制度理事会(FRB)がいずれは利下げに向かわざるをえなくなるとの見方が要因のひとつだ。グロース株の企業は借入などによる資金調達で成長性を高める戦略をとっており、金利の低下が追い風になるとされている。

これに対してバリュー株指数は金融業の比率が高く、金融システム不安の悪影響を受けやすい。また米国の景気の先行きに対する不安はウォルマートのような流通業にとっては逆風だ。

米国発の金融システム不安はスイス金融大手のクレディ・スイス・グループの救済で落ち着くかにみえたが、株式市場ではドイツ銀行の株価が大きく下落するなど、投資家の疑心暗鬼の心境は根深い。金融システムをめぐる今後の事態の進展によっては、長期金利の変動が株価を大きく左右する可能性が残っている。


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