日経平均、上昇失速 円安でも3週ぶり下落 半導体株の見通し晴れず
日経平均株価は週次857円安。TSMCの業績を受けて半導体株がそろって不振で、エヌビディア決算を控えた投資家の慎重姿勢が感じられる。
日経平均株価の上昇が失速した。15日の終値は1週間前比857円安で、3週ぶりの値下がり。アメリカ大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利後に円安が進むという日本株にとっての好材料はあったが、追い風としての効果は限定的だった。日経平均の重荷となっているのは半導体株で、台湾積体電路製造(TSMC)の10月の業績などが不安材料になっているもよう。日本の半導体企業の間では好業績も出ているものの、米国半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の決算発表も迫る中で、今後の見通しに対する慎重姿勢が続いているようだ。
日経平均株価は週次で857円安 トランプ氏勝利後の上昇から反落
日経平均(N225)の15日の終値は1週間前比857.46円安の3万8642.91円。トランプ氏の大統領選挙での勝利が追い風になった4-8日週までの2週続伸から一転して、3週ぶりの下落となった。13日以降は3万9000円台からも転落しており、失速が感じられる。また16日午前6時までの大阪取引所での夜間取引では日経平均先物が下落し、12月物は3万8040円で取引を終えている。
円安は一時156円台後半 日経平均への値上がり効果は限定的
日経平均をめぐってはドル円相場(USD/JPY)での円安という好材料もあった。LSEGによると、15日の取引では一時、1ドル=156.74円をつけ、7月23日(157.10円)以来の円安水準を記録。トランプ氏の経済政策が物価上昇圧力になるとの見通しや、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が利下げへの慎重姿勢を示したことが要因だが、日本株を押し上げる効果は限定的だった。15日の日経平均は前日比107.21円高に留まっている。
このうち東京エレクトロンは12日に市場予想を上回る2024年7-9月期決算を発表。2025年3月期の業績見通しも上方修正し、自社株買いまで発表したが、翌13日の株価は前日比0.88%高にとどまった。アドバンテストも10月30日に好決算を発表して株価上昇が勢いづいていたが、8日以降は下落基調となっている。
半導体株の見通しはTSMCなどの業績で悪化 エヌビディア決算に注目
半導体株の不振の背景にはTSMCが8日に発表した10月の総収入の伸び率が前年同期比29.2%となり、9月の39.6%から大きく鈍化したことがありそうだ。TSMCは半導体受託製造の世界最大手で、業績悪化は世界の半導体市場の不調を予感させる。TSMCが米国で上場している米国預託証券(ADR)の株価(TSM)は11日から13日までの3日間で7.23%下落した。また、米国株式市場の15日の取引では、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)が14日に示した2024年11月-2025年1月期の総収入の見通しがブルームバーグがまとめた市場予想を下回ったことで、半導体株がそろって下落している。
こうした中、日経平均の今後の見通しは半導体株をめぐるムードが左右しそうだ。エヌビディアが20日に行う2024年8-10月期決算発表は11-1月期の見通しが焦点で、市場予想を下回れば、人工知能(AI)ブームの先行きへの不安が拡大するおそれもある。日本の半導体株の失速が進めば、日経平均に下押し圧力がかかることは避けられなさそうだ。
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