日経平均、底打ち後の見通しは? 3か月ぶり週次連騰 円高に不安
日経平均株価は週次623円高。ただ、日本株全体への期待が強まったとはいえず、トランプ氏の高関税という波乱要因も待ち構えている。

日経平均株価が底打ちした。21日の終値は1週間前比623.96円高で、約3か月ぶりの2週連続での値上がり。割高感の強まりも見られず、3万8000円台への復帰も期待できる状況となった。半導体製造装置の東京エレクトロンや商社株などが牽引役となった結果だ。ただ、底打ち後の値動きには不安も残る。個別株の値動きをみると、半導体株検査装置のアドバンテストや衣料品大手ファーストリテイリングが足を引っ張っており、日本株への期待の脆さも感じられる。また、日本銀行が追加利上げを見据える続けていることは円高圧力の形で日経平均を下押ししかねない。日経平均の今後の見通しをめぐっては、アメリカのドナルド・トランプ大統領が4月2日に発動する「相互関税」などの波乱要因もあり、改めて下落圧力がかかる可能性もありそうだ。
日経平均株価は週次623円高 3か月ぶりの週次連騰
日経平均株価(N225)の21日の終値は祝日前の19日比で74.82円安となる3万7677.06円。17日と18日の2営業日で記録した800円近い値上がり幅は縮小したものの、週次での値上がりを確保した。2週続伸は日銀の利上げ見通しが後退したことが好材料になった2024年12月2日から13日にかけて以来となる。

日経平均の値上がりの背景には割安感への評価がありそうだ。ブルームバーグによると、日経平均の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は1週間前の14日時点で18.7倍程度。2020年以降の平均値である19.5倍程度を下回っていた。反発が進んだ21日の段階でも予想PERは19.2倍で、割高感が高まっているとはいえず、週明け24日以降の日経平均の見通しには明るさも感じられる。


ただ、個別株の値動きからは日本株全体への期待は感じられない。半導体検査装置のアドバンテスト(6857)は週次で1.78%安となり、反発の勢いが止まった。19日に前日比4.84%安、21日に2.23%安となっており、週の後半にかけて失速していったといえる。また、衣料品大手のファースト・リテイリング(6098)も週次で0.70%安となり、2週連続での値下がり。両社は2024年の日経平均の上昇を牽引したツートップだが、2025年の値動きは冴えない。

日銀は利上げを見据える姿勢を変えず 2月CPIは予想を上回る伸び率に
底を打った日経平均の見通しがさらに明るくならない背景には円高への懸念がある。日銀の植田和男総裁は政策金利を維持した19日、金融政策決定会合後の記者会見で16年5か月ぶりの水準に達している長期金利(10年物国債利回り)の上昇を問題視しない姿勢を示した。根強い金利の先高観は円高要因として働く。
また、21日に発表された2月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が前年同月比3.7%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の3.5%を上回った。生鮮食品を除いたコア指数の伸び率も3.0%で、やはり市場予想(2.9%)を超えている。2月CPIには政府による電気代やガス代への支援策再開という物価上昇を減速させる要因があったものの、コメ価格の上昇などもあって金融市場の見通しほどは物価上昇は減速しなかったといえる。実際、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数の伸び率は2.6%で、1月(2.5%)よりも高くなった。物価上昇圧力の強さは日銀の追加利上げの可能性を強める円高要因だ。

米国経済の見通し次第では円高進行も トランプ氏の高関税は企業業績にも影響か
一方、こうした中でも足元のドル円相場で円高が進んでいるわけではない。ブルームバーグによると、ドル円相場(USD/JPY)の21日のニューヨーク市場での終値は1ドル=149.32円で、終値としては4日(149.79円)以来の円安水準だった。米国経済への過度な不安が後退していることが背景となり、ドル高の流れが出ているといえる。

とはいえ、米国経済をめぐってはトランプ氏が4月2日に発動するとしている相互関税が波乱要因として待ち構えている。トランプ氏は自動車や半導体の輸入に関する個別関税についても明らかにする可能性がある。日経平均の今後の見通しをめぐっては、米国経済への不安の再燃が円高を招いたり、米国の関税が日本企業の業績を下押しするといったシナリオが、日経平均の反落につながるリスクも続いていきそうだ。
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