日経平均、週明けも試練か 自動車関税で週次反落 米国不安で円高も
日経平均株価は3週ぶり下落も3万7000円台は維持。海外投資家の買いが戻る兆候もあるが、米国の自動車関税や円高の可能性は大きな不安材料だ。

日経平均株価が荒れ模様の中で粘りをみせた。28日の終値は1週間前比556.73円安で3週ぶりの週次下落。アメリカのドナルド・トランプ大統領が26日に輸入自動車への25%関税を決めたことが投資家心理を一気に冷やした結果だ。一方、日経平均は3万7000円台の維持には成功しており、底堅さも感じられる。海外投資家の日本株買いが戻る兆候も感じられ、日経平均の今後の見通しへの期待は消えていない。ただしトランプ氏は4月2日に相互関税を発動させる予定で、世界経済の不透明感が改めて強まる可能性がある。米国で物価上昇と景気後退が同時に進む最悪の展開への懸念は円高要因でもあり、週明け31日以降の日経平均は試練にさらされそうだ。
日経平均株価は週次556円安 トランプ氏の自動車関税決定が逆風
日経平均(N225)の28日の終値は前日比では679.64円安の3万7120.33円。前日の227.32円安に続く、2日連続での大幅な値下がりだった。トランプ氏が日本時間の27日朝に米国が輸入する自動車に25%の関税を上乗せすると発表したことが悪材料となった。トランプ氏は24日には4月2日発動の相互関税をめぐって強硬姿勢を軟化させ、日米の株価上昇につながっていたが、株式市場のムードは大きく悪化したといえる。

アドバンテストは週次13.46%安 トヨタなど自動車株も大きく下落
個別株の値動きをみると、日経平均を最も大きく押し下げたのは半導体検査装置のアドバンテスト(6857)。28日の終値は7008円で、2024年10月4日(6974円)以来、約半年ぶりの安値をつけた。週次での下落率は13.46%安で日経平均を286円下落させている。半導体株では、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)も週次3.76%安、ルネサスエレクトロニクス(6723)も2.63%安となっている。また、トランプ氏の自動車関税の業績への悪影響が必至となっているトヨタ自動車の株価(7203)は週次5.06%安、ホンダ(7267)も7.85%安となった。

日経平均は3万7000円台は確保 ファーストリテイリングは週次0.88%高
一方、日経平均は28日の終値で3万7000台は確保しており、見通しが完全に暗くなったわけではない。28日の取引では一時、3万6866.13円をつける場面もあったが、大引けにかけての1時間で約250円下げ幅を縮めていく値動きだった。日経平均への影響度が大きい値がさ株の筆頭である、衣料品大手ファーストリテイリングの株価(9983)も28日の取引時間の終盤で上昇。終値では週次0.88%高となって、日経平均の下支えに貢献した。アドバンテストや東京エレクトロンも同様の値動きだった。

海外投資家は5週ぶりに日本株を買い越し 日経平均の割高感に和らぎ
日本株への期待は海外投資家の動向からも感じられる。日本取引所グループが27日に発表した3月17-21日週の部門別売買状況では、東京証券取引所と名古屋証券取引所の合計ベースで、海外投資家が2611億円の買い越しだったことが判明。海外投資家は2月17-21日週から4週連続で日本株を1兆6805億円売り越してきたが、ようやく買い戻しに転じた形だ。

また、日経平均の下落は割高感の緩和にもつながっている。ブルームバーグによると、日経平均の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は28日終値段階で18.9倍程度。2020年以降の平均値である19.5倍を下回っており、買い頃との見方も成り立ちそうだ。

トランプ氏の相互関税や円高進行の可能性が日経平均の見通しを下押しも
ただ、トランプ氏は4月2日には米国に関税をかけている国や地域からの輸入品に相応の関税を課す「相互関税」を発動させる。税率は当初の想定ほどは高くならないとはしているものの、米国を含む世界の経済活動への悪影響が高まる恐れは消えない。また、3月28日の米国の株式市場では2月の個人消費支出(PCE)物価指数が予想を超える伸びだったことが悪材料となり、S&P500種株価指数(SPX)が急落。物価上昇と景気悪化が同時に進む最悪のシナリオも意識されている。
こうした中、週明け31日以降の日経平均には下押し圧力がかかることが想定される。米国経済への懸念はドル円相場(USD/JPY)での円高圧力でもあり、28日のニューヨーク市場の終値は前日比1.21円の円高にあたる1ドル=149.84円だった。自動車関税と円高進行の可能性という不安要素は、日経平均の今後の見通しにとって大きな試練になりそうだ。

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