日経平均に歴史的荒波 週次3339円安 相互関税と円高で底値見えず
日経平均株価は4日までの週次で過去最大の下げ幅。トランプ氏の相互関税と円高が要因だ。企業業績の見通しがつかない中、反発の機運は乏しい。

日経平均株価が歴史的な荒波に見舞われている。日経平均の4日の終値は1週間前比で3339.75円安。週次としては過去最大の下落幅となった。アメリカのドナルド・トランプ大統領が2日に打ち出した相互関税と、それに伴う円高進行は、いずれも日本の輸出企業にとっての逆風。個別企業の業績見通しが根底から揺らぐ中で半導体株や自動車株が大きく下落した。また世界的な経済活動縮小への懸念は長期金利(10年物国債利回り)を低下させており、銀行株では2割を超える値下がりが続出している。一方、日経平均の急落は割安感にもつながっているが、企業業績の見通しがつかない中では投資家の買い意欲を高めるとの期待は持ちにくい。日経平均の今後の見通しをめぐっては底値が見えない展開が続きそうだ。
日経平均株価は週次3339円安 新型コロナ禍期を超え、過去最大の下落幅
日経平均株価の4日の終値は前日比では955.35円安の3万3780.58円。2日連続での950円を超える値下がりで、アメリカの7月雇用統計が円キャリートレードの巻き戻しを引き起こした2024年8月5日(3万1458.42円)以来の安値となった。日経平均は3月31日、前週末に発表された米国の物価指数の上振れが悪材料となって1502円安を記録。4月1日と2日は上昇したものの、トランプ氏の相互関税発表が再下落の引き金を引いている。週次での3339.75円安は、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスについてパンデミックを宣言した2020年3月9-13日週(3318.70円安)を超え、過去最大の下落幅となった。

相互関税や自動車関税が重荷 ドル円相場では一時、144円台まで円高が進行
トランプ氏が2日に発表した相互関税は日本にとって厳しい内容。5日からの一律10%の税率に加え、9日からは日本からの輸入品に追加関税も加えた24%の相互関税が課される。トランプ氏はこれとは別に自動車に対する25%関税も3日に発動。さらに半導体の輸入についても個別関税を発動する準備を進めているとしており、日本の輸出企業の業績は見通しがつかない状況に陥っている。
またトランプ氏の相互関税は円高進行のきっかけを作った。ブルームバーグによると、ドル円相場(USD/JPY)は4日の取引で一時、1ドル=144.56円まで円高が進行。米国の景気後退懸念がドル安要因となったうえ、安全資産とみなされる円が買われる流れも加わり、2024年10月2日(143.43円)以来の円高水準となった。ニューヨーク市場の4日の終値では146.93円まで買い戻されているが、改めて円高が進むことになれば、やはり日本の輸出企業にとっては逆風といえそうだ。

アドバンテストは週次11.92%安 トヨタなど自動車株も10%超の値下がり
こうした中、個別株の値動きでは半導体株の下落が止まらない。半導体検査装置のアドバンテストの株価(6857)は週次19.32%安で日経平均を358円押し下げ。半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)は週次11.92%安、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社に持つソフトバンクグループ(9984)は15.96%安となって、日経平均をそれぞれ250円超下押しした。さらにトランプ氏の高関税政策の標的となった自動車産業では、トヨタ自動車(7203)が週次10.85%安となっているほか、マツダ(7261)が週次15.98%安、いすゞ自動車(7202)が14.13%安などとなっている。

三菱UFJFGは週次20.87%安 長期金利低下で銀行株への期待後退
また米国の通商政策の大転換が世界経済を混乱に陥れるとの懸念が引き起こした長期金利の低下は銀行株の下落を招いた。4日までの週次では、三菱UFJフィナンシャル・グループの株価(8306)が20.87%安となるなど、3メガバンクの株価がそろって20%超の値下がりとなっている。ブルームバーグによると、日本の長期金利の4日の終値は1.191%で、3月25日につけた1.579%から急低下している。メガバンクには日本銀行の利上げ期待を背景とした金利水準の上昇で、融資業務での利益を増やしやすくなるとの見通しが出ていたが、期待が一気に冷え込んだ形だ。

米国株への期待後退は日経平均下落見通し強める
一方、円高は一部の企業にとっては追い風になる。家具大手のニトリ・ホールディングス(9843)は4日までの週次で6.97%高となっており、気を吐いている。しかし日経平均を構成する225銘柄中、週次での上昇は12銘柄のみ。逆に、10%超の値下がりが110銘柄にも上る中では焼け石に水といえる状況だ。

また日経平均の下落は割安感を高める要因ではあるが、株価の割安感の基準である企業業績の見通し自体が不透明な中では、投資家の積極姿勢を強める材料にはなりにくい。ブルームバーグによると、日経平均の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は4日段階で17.0倍程度。しかし新型コロナ禍の2020年3月には14.4倍まで下がったこともある。

4日の米国の株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)の急落が続き、さらなる下落も想定される。日経平均の今後の見通しをめぐっては、米国経済の悪化見通しが経済指標で裏付けられていくことで投資家心理が冷え込み、反発への期待がさらに削がれる可能性もありそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

こんなに豊富?IG証券のCFD銘柄は17,000以上
外国為替、日本株・外国株、株価指数、債券先物、商品(エネルギー、農産物、貴金属)など多彩な資産クラスをFX取引、CFD、バイナリーオプション、ノックアウト・オプションで提供
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。