日経平均にトランプリスク 週次続落785円安 米中対立で見通し悪化
日経平均株価は週次785円安。トランプ氏の対中追加関税が投資家心理を暗くした。3万8000円台での底堅さは期待されるものの、新たなリスクもちらつく。
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日経平均株価がアメリカのドナルド・トランプ大統領への警戒で揺れた。7日の終値は1週間前比で785円安となり、3万8000円台へ転落。ファーストリテイリングや東京エレクトロンといった値がさ株の値下がりが足を引っ張った。トランプ氏が中国に対する追加関税に踏み切ったことなどが、投資家の不安心理を強めたようだ。一方、日経平均は2024年秋以降、3万8000円台での底堅さをみせており、週明け10日からの値動きには反発の期待もかかる。ただしトランプ氏は7日に新たな関税政策の発表も口にしており、日経平均の今後の見通しをめぐっては、反発にブレーキがかかる可能性もありそうだ。
日経平均株価は3万8000円台に転落 4万円台への見通し強まらず
日経平均株価(N225)の7日の終値は3万8787.02円で、1週間前比で785.47円安。週次での下落は2週連続だ。日経平均は大発会(1月6日)以降の5週のうち、上昇したのはトランプ氏の大統領就任があった1月20-24日週(1480.52円高)のみ。4万円台復活の見通しが強まらない、冴えない値動きといえそうだ。
![日経平均株価と週次の増減幅の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/Nikkei225_and_weekly_change_20250208.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
![日経平均を動かした構成銘柄の寄与度ランキング](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/Nikkei225_and_top_and_worst_contributors_weekly_20250207.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
日経平均の足を引っ張った東京エレクトロンは6日の取引時間終了後に発表した2024年10-12月期決算が市場予想を超えたが、翌7日の株価は前日比4.06%安だった。2025年3月期の業績予想を据え置いたことが、株価の見通しを悪くしている。
トランプ氏は中国製品に追加関税 円高は一時150円台で日経平均の重荷に
日経平均の見通しが明るくならない背景には、トランプ氏への警戒もありそうだ。トランプ氏は1日に発動を決めたメキシコ、カナダ、中国への高関税のうち、メキシコとカナダについては適用を1か月停止すると表明。一方、中国製品に対する10%の追加関税については予定通りに4日に実施した。中国財務省は米国産の石油などに対する報復関税を課すとしており、米中対立に歯止めがかかっていない。
さらに日経平均にとってはドル円相場(USD/JPY)で進んだ円高も悪材料となった。日本銀行の追加利上げ観測が背景となって、日本時間の7日朝に一時、1ドル=150.96円をつけた後、152円台まで円安に振れたが、米国の1月雇用統計発表後には再び円高が進み、8日未明には150.93円をつけている。雇用統計は平均時給の伸び率の高さが米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しを弱める一方、労働市場の堅調さも示されていた。
![日経平均株価とドル円相場の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/Nikkei225_and_USDJPY_20250208.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグによると、日本の長期金利(10年物国債利回り)は7日に一時、1.302%まで上昇しており、円高の背景となっている。長期金利は13年10か月ぶりの高水準にあり、日本経済が長らく経験していない「金利のある世界」の到来を思わせている。
![日経平均株価と長期金利の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/Nikkei225_and_10year_government_bond_yeilds_20250208.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
アドバンテストの急落は一服 日経平均株価の見通しでは底堅さに期待も
一方、7日までの取引でも明るい材料はあった。ソフトバンクグループ(9984)は週次で2.89%高。半導体検査装置のアドバンテスト(6857)は週次0.61%安だったが、中国の人工知能(AI)開発企業「DeepSeek(ディープシーク)」の登場が株式市場を揺らした前週(1月27-31日)の13.84%安の急落からの落ち着きを感じさせた。ルネサスエレクトロニクス(6723)も6日に2025年1-3月期の総収入が2024年10-12月期よりも増えるとの見通しを示し、週次17.03%高と急騰している。日経平均の終値は2024年10月28日以降は3万8000円以上を維持しており、週明け10日からの取引では改めて買い戻しが入る可能性がある。
![アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどの株価の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/Japanese_chip_firms_20250208.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
日米首脳会談は友好関係演出 トランプ氏の新たな関税は日経平均の見通しに重荷か
またトランプ氏は7日の石破茂首相との日米首脳会談後の共同記者会見で、石破氏を「偉大な首相になるだろう」と持ち上げ、友好関係を演出。関税についても「多くは議論していない」と述べた。記者会見やSNSでの発信でも、ドル円相場への言及はなく、日経平均の今後の見通しにとっての安心材料といえそうだ。
ただ、トランプ氏は共同記者会見で、米国製品に関税をかけている国に対する「相互的な関税」について早ければ10日にも発表するとも述べている。内容次第ではサプライチェーンの混乱につながることも想定され、日経平均の反発の足を引っ張る可能性もありそうだ。
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