エヌビディア株が下落 対中国輸出規制に不安 8-10月期は好決算
エヌビディアの8-10月期決算は総収入、EPS、見通しのすべてが市場予想を超えた。しかし中国市場への懸念が株価の足かせに。
米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)が21日の取引時間終了後に発表した2023年8-10月期決算は総収入と調整ベースの1株当たり利益(EPS)がともに市場予想を超える好決算だった。また11月-2024年1月期の総収入についても市場予想を超える見通しを示した。しかしエヌビディア株(NVDA)は21日の時間外取引では値下がり。決算会見ではアメリカ政府が10月に発表した中国向け半導体輸出規制強化の影響に関する質問が相次ぎ、エヌビディアの成長の不安要素として意識されているようだ。
エヌビディアの8-10月期決算は市場予想を超える好決算
エヌビディアの8-10月期の総収入は前年同期比約3倍の181.2億ドル。調整ベースの1株当たり利益は約7倍の4.02ドルだった。LSEGデータ&アナリティクスによると、直前の市場予想は総収入が161.82億ドル、1株当たり利益が3.37ドルだった。発表された結果はいずれも予想を1-2割程度上回った形だ。
エヌビディアの成長は引き続き、人工知能(AI)開発向けの半導体を手掛けるデータセンター部門が引っ張った。データセンター部門の8-10月期の収入は145.14億ドルで、前年同期の約3.7倍。アマゾン・コム(AMZN)やマイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)などがこぞってAIサービスの提供に力を入れていることが追い風となっている。
また、エヌビディアは11月-2024年1月期の総収入は前年同期の約3.3倍にあたる200億ドル程度になるとし、市場予想(178億ドル)を超える見通しを示した。ジェンスン・ファンCEOは21日の決算会見でデータセンター部門について「2025年度を通じて成長が可能だ」と述べ、勢いの持続に自信を示した。
エヌビディア株は時間外取引で1.7%安に
しかしこうした決算内容が21日の時間外取引中に発表されると、エヌビディア株は下落した。21日の終値は前日比0.92%安の499.44ドルだったが、時間外取引ではさらに1.7%ほど安い491ドル程度で取引された。エヌビディア株は10月26日には403.26ドルまで下落した後、米国の長期金利(10年物米国債利回り)の低下や好業績期待を背景にして、11月20日には上場来高値となる504.09ドルまで約25%上昇していた。
エヌビディアの業績をめぐっては、バイデン政権が10月に発表した中国向け半導体輸出規制強化という不安がくすぶる。コレット・クレスCFOは決算会見で、輸出規制の影響を受ける地域の売り上げはデータセンター部門の20-25%を占めると明かし、こうした地域では「11月-2024年1月期の売り上げが大きく減少する」と述べた。エヌビディアは米政府や顧客との協議を続けており、中長期での影響ははっきりしないという。一方、クレス氏は輸出規制強化による売り上げ減少は他地域での成長でカバーできるとも強調している。
エヌビディアの成長は2023年の株式市場全体の牽引役となってきた。米国と中国の対立への懸念は株式市場の先行きを左右する要因のひとつといえそうだ。
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