S&P500に逆風 共和党大勝予想で金利高 企業決算期待は追い風か
アメリカのS&P500は上昇を確保。テスラなどの決算への期待が好材料となったが、長期金利の4.4%台への上昇は今後の見通しを暗くした。
アメリカの株式市場に思わぬ逆風が強まった。1日のニューヨーク債券市場の長期金利(10年物米国債利回り)の終値は約1か月ぶりの水準となる4.479%に上昇。S&P500種株価指数は前週末比での値上がりを確保したものの、今後の見通しは悪くなった。長期金利上昇の要因は、11月の大統領選挙と連邦議会選挙で共和党が大勝するとの見通しが出てきたこと。次期政権下で財政規律が緩みやすくなるとの観測が、米国債価格の下落を引き起こした。一方、今後本格化する大手ハイテク企業の決算発表への期待は株価の押し上げ要因になっており、S&P500を下支えしている。
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S&P500は上昇確保 長期金利の1か月ぶりの高さに不安
1日のニューヨーク市場での長期金利の終値は、前週末から0.136%ポイントもの上昇。5月31日終値(4.512%)以来の高水準となった。S&P500(SPX)の終値は0.27%高を確保したものの、金利高は株式の投資先としての相対的な魅力を弱めるだけに、S&P500の今後の見通しの不安材料といえる。
バイデン氏出馬が共和党に大勝をもたらすとの見通しも
長期金利上昇の要因として挙げられているのは、11月の選挙での共和党の大勝予想。民主党でも共和党でも、どちらかの政党が大統領と上下両院の多数派を独占すれば、予算編成に関する協議が進みやすくなる。このことが財政規律を緩めて国債価格を下落させ、結果として長期金利が上昇しやすくなるとの見通しにつながったとみられる。
11月の大統領選をめぐっては、6月27日の民主党のジョー・バイデン大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領の討論会で、バイデン氏の高齢問題に関する懸念が深刻化。その後、バイデン氏は民主党候補者指名を辞退する意向はないと報じられ、トランプ氏に有利に働くとみられている。この流れが上下両院の選挙にもつながれば、共和党が下院多数派を維持し、上院でも多数派を奪還できるとの見方があるようだ。
テスラなど大手ハイテク決算への期待は株価上昇要因
一方、米国の株式市場では、これから本格化する2024年4-6月期決算への注目度も高まっている。1日には電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)の株価が前日比6.05%高の急騰。決算に先立ち、2日に発表があるとみられる4-6月期の販売台数への期待が株価を押し上げた。テスラは2024年の販売台数は2023年よりも「著しく低くなる」との見方を示しているが、イーロン・マスクCEOは4月23日の1-3月期決算会見で、4-6月期の見通しについては、1-3月期よりも「かなり良くなる」としていた。
1日の大手ハイテク株の値動きではテスラ以外にも、アップル(AAPL)が2.91%高、マイクロソフト(MSFT)が2.19%高、アマゾン・コム(AMZN)が2.04%高となっている。時価総額が大きく、S&P500への影響度が大きい各社が、長期金利上昇にも負けない力強さで株式相場を下支えした。
ただ、S&Pグローバルが算出している時価総額を考慮しないベースでのS&P500は1日は前週末比0.79%安となった。決算への期待が高まる大手ハイテク株を除けば、長期金利上昇が株価の重荷になっているといえ、大手ハイテク企業の決算が期待外れに終わればS&P500の上昇にもブレーキがかかるとの予想も成り立ちそうだ。
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