米雇用統計、6月就業者23万人増予想 S&P500上昇も
6月のアメリカの雇用統計は堅調な結果となる見通し。予想通りであれば円安ドル高圧力が強まると同時に株高が進む可能性もある。
7日に発表されるアメリカの6月の雇用統計は非農業部門の就業者数の増加が約23万人と予想されている。予想通りであれば米国経済の堅調さを示す結果で、物価上昇と闘う米連邦準備制度理事会(FRB)がさらに利上げを進めるとの見方が強まり、円安ドル高圧力が増しそうだ。また、5月の雇用統計が市場予想を大きく上回った際は、株式市場でS&P500種株価指数などが値上がりした。FRBにとっては不本意な雇用の強さが示されたとしても、株式市場にとっては朗報となる可能性がある。
6月のアメリカ雇用統計は堅調な結果との予想
6月の雇用統計は7日午前8時30分(日本時間午後9時30分)に発表される。ロイター通信のエコノミスト調査によると、6月の就業者数は前月比で22.5万人増える見通し。増加幅は3月(21.7万人)以来の低さとなるが、それでも20万人の大台を維持する堅調な結果といえる。また失業率は3.6%となり、5月の3.7%からわずかに低下すると見込まれている。こちらも労働市場の強さを示す結果になりそうだ。
5月のPCE物価指数はコア指数が4.7%増
米国の労働市場の強さは、旺盛な消費につながり、物価上昇の背景となっている。6月30日に発表された5月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率は、食品とエネルギーを除いたコア指数で前年同月比4.6%。市場予想の4.7%を下回ったものの、2022年11月から7か月連続で4.7%前後の数字が続いている。一方、総合指数の伸び率は3.8%となり、4月の4.3%から大きく低下した。しかし米FRBのジェローム・パウエル議長は「コア指数がはっきり下がっていることを確認したい」としており、FRBの利上げ姿勢は崩れていない。
このため6月の雇用統計が強い結果と受け止められれば、25、26日の連邦公開市場委員会(FOMC)を含め、年内に2回の利上げが行われるとの見方が強まりそうだ。このところのドル円相場(USD/JPY)は、急速な円安を警戒する日本政府が為替介入を行うことへ警戒感から大きな値動きはみられないが、さらに円安ドル高圧力が増すことになりそうだ。
5月の雇用統計発表時はS&P500が上昇
また、5月の雇用統計で就業者数が33.9万人増となり、市場予想(19万人増)を大きく上回った際は、円安ドル高と同時に株高も進んだ。5月の数字が発表された6月2日のS&P500種株価指数の終値は前日比1.5%高、ナスダック総合指数は1.1%高。金利の先高感は株価にとってマイナス要因になりえるが、雇用の強さは米国経済の強さの証だという安心感が広がったとみられる。
S&P500種株価指数は8日に強気相場に入った後もさらに上昇が続いている。2年物米国債の利回りが5%に近づくなど、金利水準の高まりという不安材料もあるが、労働市場の強さが示されれば素直に好材料と受け止められる可能性もある。
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