米FRBの物価判断左右 5月PCEは横ばい予想 米国株に影響も
5月の米PCE物価指数の伸び率は横ばいの見通し。米FRBの利上げの確度を高め、米国の強気相場に影響が及ぶ可能性がある。
30日に発表される米国の5月の個人消費支出(PCE)物価指数は、エネルギーと食品を除いたコア指数の伸び率が4月と同じになると見込まれている。PCE物価指数は米連邦準備制度理事会(FRB)が物価動向の判断基準とする重要指標。PCEで示されてきた物価上昇の根強さはFRBの利上げ路線の裏付けとなっており、5月の結果の重要性は高い。結果次第ではドル円相場やこのところ下落している米国株の先行きにも影響が出る可能性がある。
5月の米PCE物価指数の伸び率はコアで4.7%の予想
5月のPCE物価指数は30日午前8時30分(日本時間30日午後9時30分)に米商務省が発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、5月はコア指数の伸び率が前年同月比4.7%となり、4月の実績と同じ数字になる見込み。予想通りであれば、2022年11月以来7か月連続で4.7%前後の数字が続くことになる。
米国の物価上昇をめぐっては13日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)で、総合指数の伸び率が大幅に低下。コア指数の伸びも4月から減速し、物価上昇の和らぎを感じさせた。こうした状況を受けてFRBは14日に6月の利上げ見送りを決めている。
ただ、FRBのジェローム・パウエル議長は14日の記者会見で7月以降の利上げ姿勢を強調。PCE物価指数のコア指数の伸び率の高さについて「われわれの目標よりはるかに高く、ほとんど下がっていない」と指摘し、「われわれはこのコア指数がはっきりと下がっていることを確認したい。それがすべてだ」と付け加えた。FRBはこの日公表した経済見通しで、年内2回の利上げがあることを示唆している。
このため、5月のコア指数の伸び率が予想通りであれば、FRBの利上げ路線の確度を強めることになりそうだ。ドル円相場(USD/JPY)ではこのところ、日本政府による為替介入への警戒感もあって、円安ドル高が1ドル=143円台後半で足踏みしているが、さらにドル高圧力が増すことも想定される。
また、FRBの利上げ意欲の強さは、金利の上昇を通じて米国株の値上がりを下押しする要因となる。強気相場に入っているS&P500種株価指数は6月15日に直近の高値である4425.84を付けたが、その後は下落基調。FRBの利上げ姿勢が徐々に市場に浸透し、2年物米国債の利回りの上昇が続いていることが投資家心理を冷やしているもようだ。5月のコア指数の結果次第では、投資家の株価の先行きに対する不安を高める可能性もありそうだ。
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