米CPI、3月も上昇加速見通し 10日発表 S&P500苦境
アメリカの3月CPIは2か月連続で伸びが高まる見通し。ハイテク企業の決算発表も控える中、S&P500に下落圧力がかかるおそれも。
アメリカで10日に発表される3月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇の加速が見込まれている。予想通りであれば、米連邦準備制度理事会(FRB)が目指す物価上昇沈静化の難しさが意識され、株式市場が期待する6月利下げの確度が低くなりそうだ。8日の金融市場では長期金利(10年物米国債利回り)が4か月半ぶりの高さになっており、S&P500種株価指数は苦しい状況に陥っている。大手ハイテク企業の株価も4月中旬からの2024年1-3月期決算発表を控えて勢いが弱く、3月CPIをきっかけに株式市場の今後の見通しが暗くなる可能性も拭えない。
アメリカの3月CPIは総合指数の伸びが3.4%に上がる見通し
米労働省は10日午前8時30分(日本時間10日午後9時30分)に3月CPIを発表する。ロイターがまとめた事前予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比3.4%となり、2月の3.2%より高くなる見通し。予想通りになれば2か月連続での物価上昇加速となる。一方、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.7%となり、2月(3.8%)から減速する見込みだが、FRBが目指す2%には距離がある水準になりそうだ。
物価上昇加速見通しの背景には、中東情勢緊迫化を契機とした原油価格の値上がりがある。LSEGのデータによると、原油先物価格の指標であるWTIの8日の終値は1バレル=86.43ドルで、10月下旬以来の高水準。また、米エネルギー情報局(EIA)が8日に発表した週次のレギュラーガソリンの平均価格は1ガロン=3.591ドルで、10月上旬以来の高さとなっている。
S&P500は3月末の高値から後退 長期金利が重荷
こうした中、金融市場ではFRBの利下げ観測がじわじわと後退している。米CMEグループのデータによると、金融市場が期待する利下げ時期は引き続き6月が有力。しかし6月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて投資家の動向から算出される確率は日本時間9日午前9時段階で約50%で、4月初めの6割を超える状況からは期待が薄れている。利下げ観測後退のきっかけは、5日発表の3月雇用統計が予想以上の強かったことで、10日発表の3月CPIが物価上昇の強さを感じさせた場合は、6月利下げの確度はさらに低くなりそうだ。
利下げ観測の後退は長期金利の上昇としても表れている。8日のニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.424%で、11月24日(4.484%)以来の高さだ。金利高は企業や個人の経済活動の足かせとなるほか、株式の投資先としての魅力を相対的に低くすることもあり、株式市場ではS&P500(SPX)の値動きが冴えない。8日のS&P500の終値は前日比0.04%安の5202.39で、3月28日につけた最高値(5254.35)から0.99%下落している。
大手ハイテク株の勢いは失速
一方、株式市場では投資家の関心は今後の企業決算発表にも向かう。マグニフィセント・セブンと呼ばれる大手ハイテク企業7社の中では、電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)が23日、SNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)が24日、アップル(AAPL)が5月2日に決算を発表すると公表している。
アップルやテスラの株価は下落基調が続いているほか、5月22日に2-4月期決算を発表する半導体大手のNVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価にもかつての勢いはない。物価上昇再燃が政策金利の高止まりを意識させれば、大手ハイテク株の影響度が大きいS&P500の今後の見通しにも悪い影響が出そうだ。
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