反発基調を維持する米金利と7月CPI / ドル円とユーロドルの焦点
サマリー:「インフラ投資法案の可決で持続的な景気の回復期待が高まる。米金利は反発基調を維持。米ドル買い優勢のトレンドが続く。ドル円とユーロドルの焦点は?上下のチャートポイントは?」。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
反発基調を維持する米金利と7月CPI
10日の米国市場はリスク選好相場となった。この日、米議会の上院で超党派のインフラ投資法案(1兆ドル規模)が可決された。新たな政策による持続的な景気回復の期待から、米国の株式市場では景気敏感株を中心に買いが入り、ダウ平均とS&P500指数が最高値を更新した。一方、米債市場では長期金利(以下米金利)が1.35%台まで上昇した。
外為市場では米金利の上昇に連動し、米ドル買い優勢のトレンドが続いた。特にドル円(USDJPY)は、米株高も合わさり堅調地合いを維持した。一方、ユーロドル(EURUSD)は、重要サポートポイントの1.17レベルを視野に下落トレンドを維持している。
今日は7月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。5月以降、インフレの高止まりは「一時的な現象」として米債市場で受け止められ、米金利は低下基調にあった。しかし現在の米金利は、「労働市場の改善→持続的な景気の回復」が意識され、反発の基調にある。このタイミングでCPIが予想以上となる場合、米金利は50日EMA(今日現在1.3628%)を突破する展開が予想される。米ドル相場もその動きにサポートされよう。
逆にCPIが予想以下となる場合は、米金利の低下と調整の米ドル売りを想定しておきたい。
米長期金利のチャート
ドル円の焦点は110.60-70ゾーンの攻防
米株の上昇と金利の反発が続いていることで、ドル円(USDJPY)は110円台で底堅い動きとなっている。
目先の焦点は、このレポートで指摘してきた110.60-70のレジスタンスゾーンの突破である。昨日は110.60レベルで上昇が抑制された。上で述べたとおり、労働市場の改善と景気の回復期待が高まる中で7月の米CPIが予想以上となる場合、米金利にはさらに反発の圧力が高まる展開が予想される。このケースでは、上で述べたレジスタンスゾーンのトライおよび突破を想定したい。
このゾーンの突破は、111.00を目指すシグナルとなり得る。
一方、ドル円が反落する場合、その要因としては、さえないCPIや新型ウイルスのリスクが意識されることによる米株の調整売りが考えられる。
だが、リスク選好ムードが漂う今の状況を考えるならば、ドル円は110円前後で反発する可能性があろう。110.00上には21日EMA(今日現在110.04レベル)、110.00下には50日EMA(今日現在109.93レベル)がそれぞれ推移している。
ドル円のチャート
1.17トライを目指すユーロドル
ユーロドル(EURUSD)は連日陰線が示現し1.17トライが迫っている。
昨日は、フィボナッチ・プロジェクション38.2%の水準1.1712レベルで相場がサポートされた。しかし、今月6日に21日EMA(今日現在1.1809レベル)で上値が抑制され大陰線が示現したこと、そしてMACDで下落シグナルが点灯している状況も考えるならば、1.17トライおよびブレイクの可能性が高まっている。
強い米CPIや株高トレンドの維持により米金利の上昇が続く場合、ユーロドルはプロジェクション38.2%のブレイクと1.1700トライを想定したい。
1.16台の攻防となる場合は、プロジェクション50.0%の水準1.1651レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。
1.17ブレイク後に調整の反発(ユーロ買い/米ドル売り)が見られても、1.17レベルで戻りが抑制される場合は、ユーロドルの下落トレンドが続くシグナルと想定したい。
一方、目先の上値の焦点は1.1750レベルの突破である。この水準は7月下旬に相場をサポートした経緯がある。レジスタンスへ転換する場合、ユーロドルの地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。
ユーロドルのチャート
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