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ドル円の見通し:米国にスタグフレーション懸念 日米金利差縮小 円相場の上振れ警戒

スタグフレーションが米国市場の新たな懸念材料となる可能性がくすぶり始めた。米金利は再び低下基調へ転じている。対照的に国内の金利は、日銀の早期利上げ観測で上昇幅が拡大している。今週も円高の進行を想定したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の概要

米金利には再び低下の圧力が強まっている。一方、国内金利は日銀の早期利上げ観測を受け上昇幅が拡大し、日米利回り格差の縮小傾向が鮮明となっている。今週の外為市場も円高の進行を警戒したい。ドル円は新たな下値水準の見極めが焦点となろう。週間の予想レンジは146.00~152.00。


記事の焦点


インフレ進行、日銀の早期利上げ期待で国内金利の上昇幅が拡大

2月に入り、日銀サイドから追加利上げに関する前向きな発言が聞かれる。高田創審議委員は19日の講演で物価の上振れリスクに言及し、経済と物価の見通しが実現していけば「一段のギアシフトを進める局面」にあると述べた。植田総裁は21日の衆院予算委員会で、長期金利が急激に上昇するような例外的な状況では機動的に国債買い入れの増額を実施する方針を示した一方で、物価見通しがさらに改善していけば金利をまた引き上げることも視野に入ると述べた。

総務省が21日発表した1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で4.0%上昇した。2年ぶりに4%台へ到達した。変動の大きい生鮮食品を除いたコア指数は同比3.2%上昇し、3ヶ月連続で伸びが拡大した。人手不足で賃金に持続的な上昇圧力がかかりやすい状況にあることも考えるならば、植田総裁が重視する賃金と物価の好循環の確度は着実に高まっている。

国内の債券市場では日銀の早期利上げ観測が強まり、金利の上昇幅が拡大している。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは先週、2008年10月以来となる0.839%まで上昇する局面が見られた。10年債利回りは21日の市場で、2009年11月以来となる1.455%まで上昇した。

国内金利の動向:週足 2008年以降

国内金利の動向:週足 2008年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

再び低下ムードの米金利、くすぶり始めたスタグフレーションの懸念

国内金利とは対照的に、米国債の利回りは再び低下基調へ転じている。21日の市場では、2年債利回りが今月7日以来となる4.1%台へ低下する局面が見られた。10年債利回りは、4.4%のサポートラインを視野に低下幅が拡大した。米金利低下の主因は、この日発表された経済指標にあった。

2月のミシガン大学消費者態度指数の確報値は、速報値の68.7から65.7へ下方修正された。先行景況感も速報値の67.3から64.0へ下方修正された。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する5-10年先の期待インフレ率は3.5%と速報値の3.3%から上方修正され、1995年4月以来の水準となった。

米国経済は個人消費に支えされている。個人消費は消費者心理(マインド)に左右される。そのマインドが低下する一方で期待インフレ率が上昇している状況は、投資家の不安心理を掻き立てた。

ミシガン大学調査 消費者態度指数と期待インフレ率:24年2月~25年2月

ミシガン大学調査 消費者態度指数と期待インフレ率:24年2月~25年2月

ブルームバーグのデータで筆者が作成

企業のマインドも低下している。米S&Pグローバルが21日に発表した2月の購買担当者景気指数(PMI)速報値では、総合指数が50.4と1月の52.7から急速に落ち込み、2023年9月以来の低水準となった。要因はサービス業の低迷にあった。2月は49.7と1月の52.9から急低下し、景気判断の分かれ目である50を下回った。

米国 購買担当者景気指数(PMI):24年2月~25年2月

米国 購買担当者景気指数(PMI):24年2月~25年2月

ブルームバーグのデータで筆者が作成

21日の経済指標で注目すべきは、アメリカの大統領選挙が行われた昨年の11月以降、いずれも低下と上昇へ転じていることである。このトレンドは、トランプ関税によるインフレ再燃の可能性を意識した動きと考えることができる。

トランプ米大統領は、関税の強化策を矢継ぎ早に表明している。トランプ氏は21日、4月2日に自動車関税を25%にするとあらためて表明した。また、米国の巨大テック企業に課すデジタルサービス税(DST)を導入している国からの輸入品に報復関税を課すための調査をするよう、通商代表部(USTR)に指示した。

これまでは、「トランプ関税→インフレの再燃」を警戒する局面にあった。しかし21日の経済指標や1年ぶりの大幅減となった1月の小売売上高、そして米小売り大手ウォルマートのさえない通期見通しも考えるならば、今後は「トランプ関税→スタグフレーション」が米債市場の主要なテーマに浮上するかどうか?この点が焦点となる可能性がくすぶり始めた。

今後の経済指標を受けてスタグフレーションが新たなテーマとなる場合、米金利の低下とそれに伴う日米利回り格差の縮小、さらにはリスク回避の株安が円高の要因となるシナリオを想定しておく必要がある。

1月PCEデフレーター、上振れた場合の米金利の反応は?

今週は2月の消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)と1月の個人消費支出価格指数(以下ではPCEデフレーター)が、米金利の変動要因となろう。

上で取り上げた2つの経済指標と同じく、消費者信頼感指数も昨年の11月を境に低下基調へ転じている。ブルームバーグがまとめた市場予想によれば2月は102.7と、1月の104.1から低下する見込みにある。現在83.9にある期待指数も景気判断の分かれ目である「80」を下回る場合は、個人消費の先行き不透明感を高める要因となろう。米国市場は金利の低下と株安で反応する可能性がある。

米国の消費者信頼感指数:24年2月~25年1月

米国の消費者信頼感指数:24年2月~25年1月

ブルームバーグのデータで筆者が作成

今週、市場参加者が最も注目する経済指標が、28日の1月個人消費支出価格指数(以下ではPCEデフレーター)となろう。ブルームバーグがまとめた市場予想では、トレンドを示す前年同月比が昨年12月から鈍化の見込みにある(下のラインチャートを参照)。米連邦準備制度理事会(FRB)が物価指数として重視するPCEデフレーターがインフレ再燃の懸念を高める内容となれば、米金利の上昇要因である。

しかし、現在はスタグフレーションが新たなテーマとなる可能性がくすぶり始めている。ゆえに、PCEデフレーターが予想以上に上振れても米金利が低下で反応すれば、日米利回り格差の縮小がさらに進行するだろう。また、スタグフレーションの懸念は米株安の要因でもある。リスク回避の円高も重なる場合、ドル円は下で取り上げている今週の予想レンジの下限を視野に下落幅の拡大を警戒したい。

米国のPCEデフレーター:2024年1月~12月

米国のPCEデフレーター:2024年1月~12月

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:1月の市場予想


ドル円 今週の見通しとテクニカルライン

縮小傾向を鮮明にする日米の利回り格差
日米の利回り格差が縮小の傾向を鮮明にしている。現在の日米利回りのトレンドを考えるならば、今週の円相場も上振れを警戒したい。

円高の進行が続けば、今週のドル円(USD/JPY)は以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。

日米利回り格差の動向:2024年7月以降

日米利回り格差の動向:2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

今週のサポートライン、予想レンジの下限は146.00レベル
・ドル円(USD/JPY)は52週線を下方ブレイクし、かつこの移動平均線がレジスタンスラインへ転換した(週足チャートを参照)。日足のMACDとモメンタムのトレンドも考えるならば今週のドル円の焦点は、新たな下値の水準を探ることにある。現在サポートラインとして意識されている半値戻しの水準149.23レベルを完全に下方ブレイクする場合は、昨年12月3日の安値148.64を視野に下落幅の拡大を想定したい

・ドル円が148.64レベルを下方ブレイクする場合、次の焦点は148.00の維持となろう。このラインは、昨年10月にサポートラインへ転換した経緯がある

・ドル円が148.00をも下方ブレイクする場合は、1円レンジで下値の水準を探る展開を想定したい。週足チャートにプロットしたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準は146.95にあたる。このテクニカルラインの下方ブレイクは、予想レンジの下限146.00をトライするサインとなろう。146.00レベルもサポート転換を意識するラインである

サポートライン
・149.23:半値戻し(週足)
・148.64:昨年12月3日の安値(日足)
・148.00:サポートライン(週足)
・146.95:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(週足)
・146.00:今週の予想レンジ下限(週足)

今週のレジスタンスライン、予想レンジの上限は152.00レベル
・ドル円(USD/JPY)の反発局面でも1円レンジの攻防に注目したい。最初の焦点は150.00レベルの突破となろう。レジスタンスラインとして意識されている5日線の突破は151.00レベルをトライするサインとなろう

・ドル円が151円台へ上昇する場合は、10日線の攻防に注目したい。この移動平均線を突破する場合は、今週の予想レンジ上限152.00レベルを視野に上昇幅の拡大を想定したい

・短期間で円高が急速に進行している。ドル円が予想レンジの上限を突破する展開も想定しておきたい。だが、今月12日と13日にレジスタンスラインとして相場の反発を止めた21日線とトレンドチャネル上限の突破に成功しない限り、下値トライを意識する状況が続こう

レジスタンスライン
・152.66:21日線(日足)
・152.00:今週の予想レンジ上限(日足)
・151.49:10日線(日足)
・151.00:レジスタンスライン(日足)
・150.32:5日線(日足)
・150.00:レジスタンスライン(日足)


ドル円のチャート

週足:2024年5月以降

週足:2024年5月以降

出所:TradingView

日足:2024年12月以降

日足:2024年12月以降

出所:TradingView


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