豪ドルに下落圧力も 12月物価上昇低下予想 豪中銀利下げは8月か
オーストラリアの12月のCPIは物価上昇率が3.7%に低下する予想。RBAによる利下げ期待を強めれば豪ドル安も。
オーストラリア統計局が31日に発表する12月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇率の低下が予想されている。総合指数の伸び率は前年同月比3.7%が見込まれており、オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)が目標とする2-3%への接近が意識される可能性がある。金融市場ではRBAの利下げ開始は8月が有力視されているが、タイミングが前倒しされるとの観測が広がれば、豪ドル円相場で円高豪ドル安が進む筋書きも考えられそうだ。
オーストラリアの12月CPIの伸び率は2年ぶり3%台予想
オーストラリア統計局は31日午前11時30分(日本時間31日午前9時30分)に12月と10-12月期のCPIを発表する。12月CPIの伸び率が予想通りになれば、11月の4.3%から大幅な低下。2021年12月(3.5%)以来2年ぶりの3%台となる。また10-12月期CPIは総合指数の伸び率が前年同期比4.3%になり、やはり7-9月期(5.4%)から低下すると見込まれている。
RBAは11月の理事会で5会合ぶりの利上げを決めたが、12月の理事会では改めて利上げを見送っている。12月の総合指数の伸び率が3%台になれば、RBAが目標とする2-3%の水準に向かう傾向がはっきりとし、RBAが今度は利下げに動くとの観測を後押ししそうだ。RBAは12月理事会後の声明で、「さらなる金融引き締めが求められるかどうかは経済指標とリスク判断の変化次第だ」として、利上げ打ち止めの可能性をにじませていた。
豪中銀の利上げ開始は8月が有力視
LSEGのデータによると、金融市場ではRBAが2月5、6日の理事会で利上げを見送ることが確実視されている。また、RBAが利下げに踏み切るタイミングとしては8月との見方が強い。8月の理事会後にRBAの政策金利が現状の4.35%よりも低くなっていることについて、投資家の動向が算出される確率は日本時間29日午後5時の段階で約63%となっている。CPI発表後に金融市場が見積もる利下げ開始時期が前倒しされれば、豪ドル円相場(AUD/JPY)で豪ドルが売られやすくなる要因になりそうだ。
ただ、豪ドル円相場の先行きには日本銀行の金融政策をめぐる思惑も影響する。1月10日に11月CPIが発表された際は総合指数の伸び率が低下したにも関わらず、豪ドル円相場は円安豪ドル高に振れた。同じ日に発表された日本の毎月勤労統計で賃金の伸びの低さが注目されるなどして、日銀によるマイナス金利解除が遠のいたとの見方が広がり、円が売られやすくなったことが要因のひとつだった。豪ドル円相場はその後、1豪ドル=97円台での小さな値動きが続いている。
また、オーストラリアの12月CPI発表が予定されている31日には、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を発表する。FRBが12月のFOMCで利下げの方向性を示した際は、円がドルに対して買われる度合いが、豪ドルがドルに対して買われる度合いよりも大きくなり、結果として豪ドル円相場は円高豪ドル安に振れた。今回のオーストラリアの12月CPIでRBAによる利下げが意識されたとしても、本格的な値動きはFOMCの結果が出てからになる可能性もある。
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