ディズニー、低迷株価復活なるか 9日決算発表 動画配信の改善に期待
ディズニーの4-6月期決算は低迷する株価の行方を占う。動画配信事業の改善がカギを握るが、風向きは良くない。
米メディア大手のウォルト・ディズニーが9日の取引時間終了後に発表する2023年4-6月期決算は動画配信事業の状況がどこまで改善しているかに注目が集まる。1-3月期は赤字幅が縮小する一方で、主力サービスのディズニープラスの会員数が減少。株式市場が活況に沸く中でも株価は低迷している。2022年11月に2年ぶりのトップ復帰を果たしたロバート・アイガーCEOは在任予定期間を延長して業績回復を目指す考えだが、動画配信事業でのライバルも苦しんでおり、風向きは良くない。
ディズニーの2023年4-6月期決算は増収減益の予想
ディズニーは9日午後4時30分(日本時間10日午前5時30分)に決算会見を開く。金融情報会社リフィニリティブのデータによると、ディズニーの4-6月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比4.6%増の224.85億ドル。ディズニー決算で投資家が注目する調整ベースの1株当たり利益は11.0%減の0.97ドルと見込まれている。ディズニーは過去14回の四半期決算で、総収入では4回、市場予想を超えられなかった。1株当たり利益では、前回(1-3月期)を含めて5回、市場予想を下回った。
ディズニーの株価(DIS)は2022年に約44%下落。S&P500種株価指数(SPX)の約20%下落よりも悪い結果だった。8月1日の終値は89.03ドルで、2022年末から2.5%だけ高い水準。S&P500の上昇率の19.2%をはるかに下回っている。ディズニーが構成銘柄に含まれているダウ工業株30種平均の上昇率(7.5%,DJI)と比べてもさえない数字だといえる。
リフィニティブによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は18.18倍。動画配信事業で競合するネットフリックス(NFLX)の30.86倍よりも割安だ。一方、同じメディア企業であるコムキャスト(11.12倍、CMCSA)と比べれば割高になっている。アナリストが提示する目標株価の平均は113.57ドル。32人のうち6人が強い買い、17人が買いを推奨している。7人は維持、2人は売りを勧めている。
動画配信事業は営業赤字が続く
ディズニーの株価低迷の要因となっているのは動画配信事業の不振だ。ディズニープラスは2019年11月の立ち上げ以降、順調に拡大してきたが、1-3月期まで2四半期連続で会員数が前期から減少している。動画配信事業全体でみた1-3月期の営業赤字は6.6億ドルで、縮小傾向にあるとはいえ、立ち上げから14四半期が経過しても黒字化を達成できていない。ディズニーの株価は1-3月期決算発表直前は101ドル台だったが、翌日には8.7%下落し、その後も90ドル前後での値動きが続く。
投資家は2015年から2020年までトップとして手腕を振るったアイガー氏に期待をかける。ディズニーは7月12日、当初2年だったアイガー氏の就任予定期間を2年延長し、2026年末までにすると発表した。アイガー氏はディズニーには大きな成長の機会があると同時に、「経済全体の状況やメディア産業の地殻変動に起因する試練にも直面している」とし、腰を据えた改革に臨む考えだ。
アイガー氏はディズニープラスで利用料金が比較的安価な広告付きプランを強化して、広告収入で動画配信事業の黒字化を図る考え。ただ、同様の戦略をとるネットフリックスは4-6月期決算で総収入が伸び悩んだ結果、株価下落を招いた。ディズニーの取締役会から「世界最高のCEOの一人」と評価されるアイガー氏が手腕の違いをみせられるかどうかに注目が集まる。
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