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日本の物価、4月は上昇減速予想 円安要因か 先行きは加速見通し

日本の4月CPIが予想を下回れば円安要因。一方、先行きには定額減税などの物価上昇要因もあり、ドル円相場の見通しに影響する可能性がある。

日本の物価、4月は上昇減速予想 円安要因か 先行きは加速見通し 出所:ゲッティ

日本の物価上昇の加速はしばらく先になりそうだ。総務省が24日に発表する4月の消費者物価指数(CPI)は伸び率が3月から減速する見通し。金融市場で日本銀行の利上げに対する期待が遠のけば、ドル円相場を円安に動かす可能性がある。ただし日本の物価をめぐっては5月以降、政府のエネルギー料金負担軽減策が終わることなどの影響で上昇圧力がかかる見込み。また春闘での賃上げや定額減税などは個人消費を促す物価上昇要因といえ、今後の日本経済の活力の行方もドル円相場の見通しに影響する。

日本の4月CPIはコア指数の伸びが2.2%に減速する見通し

総務省は24日午前8時30分に4月CPIを発表する。LSEGがまとめた事前予想によると、生鮮食品を除いたコア指数の伸び率は前年同月比2.2%となり、3月の2.6%から減速する見通し。1月の2.0%以来の低さになるとみられている。

日本の消費者物価指数(CPI、総合、コア、コアコア)の伸び率の推移のグラフ

仮に4月のコア指数の伸び率が予想を下回るサプライズとなれば、金融市場では日銀の利上げに対する期待が後退しそうだ。LSEGのデータによると、金融市場では、日銀が9月に利上げを決めるシナリオが有力。22日正午現在、9月の金融政策決定会合後の政策金利は0.2023%になると見込まれ、現状から0.1%幅の利上げが想定されている形だ。

日銀の利下げ期待が後退すれば円安が進む可能性も

実際に利下げ期待が後退した場合、日本の長期金利上昇にブレーキがかかり、円安要因として働く可能性がある。日本の長期金利(10年物国債利回り)は日銀が3月19日に大規模金融緩和を終了させてから上昇傾向が鮮明となり、5月21日には一時0.985%を記録。2013年5月23日(1.002%)以来の高さとなった。この長期金利の上昇が止まれば、円安要因である日米の長期金利の差の大きさが解消されなくなる。

日米の長期金利差とドル円相場の推移のグラフ

22日の東京市場のドル円相場(USD/JPY)は1ドル=156円台前半で推移。ドル円相場は4月29日に34年ぶりの円安水準となる160.03円を付けた後、日本政府による為替介入とみられる値動きを経て、5月3日には151.85円をつけていた。現在の水準はこうした値動きの中間点付近にあたり、4月CPIでのサプライズは相場の流れを変える可能性もある。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事

定額減税などは日本の物価上昇を押し上げる要因に

ただし日本の物価をめぐっては5月以降に上昇圧力が増す。5月には再生可能エネルギー発電促進賦課金が引き上げられ、電気料金を押し上げるほか、政府が原油などの価格上昇への対応策として続けてきたエネルギー価格激変緩和対策事業による電気・ガス代への補助が5月で終了になるためだ。緩和策導入時の影響が反映された2023年2月CPIはコア指数の伸び率が3.1%となり、1月の4.2%から大きく低下していた。

また、春闘で大幅な賃上げが実現したことは個人消費を後押しする物価上昇要因だといえる。さらに所得税と住民税の定額減税をめぐっては、6月分給与の源泉徴収で、所得税の定額減税が反映されるほか、住民税については一時的に徴収されない措置がとられる。こうした短期間に集中して手取り収入が増える定額減税の仕組みも消費を刺激する効果を生みそうだ。

日銀は4月26日に示した経済見通しで、2024年度のコア指数の伸び率が2.8%になるとしている。4月CPIが予想を下回れば、こうした日銀の見立ての前提が崩れたとみなされ、円安圧力として働く筋書きも考えられる。


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