JPモルガン、株価上昇 好決算で1.5%高 高金利コストには不安
JPモルガンが2023年7-9月期の好決算を発表。しかし預金金利上昇や貸し倒れ増の兆候もあり、先行きは不透明だ。
JPモルガン・チェースが13日の取引開始前に発表した2023年7-9月期決算は市場予想を上回る好決算だった。金利水準の高まりを追い風として、収益力の高さを印象付けた形だ。JPモルガンの株価の13日の終値は前日比1.5%高となり、ダウ工業株30種平均を押し上げた。一方、JPモルガンが預金に対して支払う金利の上昇や貸し倒れ増加の兆候もみられ、今後も好業績が続くかどうかは予断を許さない。ジェイミー・ダイモンCEOは世界情勢の先行き不透明感にも警戒を示している。
JPモルガンの2023年7-9月期は予想を超える好決算
JPモルガンの7-9月期決算は、総収入が前年同期比21.5%増の406.86億ドル。1株当たり利益は38.8%増の4.33ドルだった。金融情報会社リフィニティブがまとめた決算発表直前の市場予想は総収入が396.30億ドル、1株当たり利益が3.92ドルで、結果はいずれも予想を上回った。
JPモルガンの収入を分野別にみると、金利収益が29.7%増の227.26億ドルまで大きく伸びた。長期金利(10年物米国債利回り)が4%台後半まで上がっている金利水準の高さが、貸し出し金利を高めるプラス要因となった。
好決算を受けて13日の株式市場ではJPモルガンの株価(JPM)が上昇。終値は前日比1.5%高の148.00ドルとなった。こうした中、JPモルガンが構成銘柄に入っているダウ平均(DJI)の13日の終値は0.1%高の3万3670.29ドルで、S&P500種株価指数(SPX)の0.5%安と明暗が分かれた。ダウ平均の上昇には同じく好決算を発表した医療保険のユナイテッドヘルス・グループ(UNH)の株価の値上がりも貢献した。
預金金利に支払う金利や貸し倒れ償却が増加
ただしJPモルガンは先行きを楽観しているわけではない。ダイモン氏は決算発表に際してのコメントで、金利収益が高く、貸し倒れなどから発生する損失が少ないという状況は今後、通常の状態に戻っていくと言及した。実際、JPモルガンが7-9月期に預金に対して支払った平均金利は2.53%で、前年同期(0.73%)から3倍以上に膨らんでおり、金利収益を圧迫している。また、貸し倒れに関する償却額は14.97億ドルで、こちらも前年同期(7.27億ドル)の2倍以上になっている。
JPモルガンの株価は13日に上昇したとはいえ、7月31日につけた直近の高値(157.96ドル)までは距離がある。8月に入ってからの株価下落は長期金利の上昇加速とともに始まっており、高金利が投資家にとっての不安になっているようだ。
また、経済情勢の不透明さも引き続き懸念材料だ。アメリカの物価上昇率は高いままで、金利水準がさらに上がる可能性もある。さらにロシアによるウクライナ侵攻が長期化しているうえ、7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃は戦闘の激化につながっており、原油価格や食料価格への影響も考えられる。ダイモン氏は現在の世界情勢について「この数十年で最も危険な状態かもしれない」としており、先行きへの警戒感を強めている。
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