日経平均、不振脱却か 週次1000円高 9月のS&P500不安
日経平均は週次で1086円上昇。バブル後最高値からの下落を埋め始めた。S&P500復調が背景だが、見通しは晴れない。
日経平均株価が夏場の不振から抜け出す気配が出てきた。日経平均の1日の終値は1週間前比で1000円超高。6月中旬以来の値上がりを記録し、バブル後最高値からの下落を埋め始めた。アメリカの景気の過熱感の和らぎが投資家の安心感を高めているもようで、S&P500種株価指数も6月中旬以来の週次上昇率となった。ただし米国の物価上昇の根強さは変わらず、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを見据える状況は続く。米国の株式市場は9月は下落に見舞われやすいというデータもあり、当面は株式市場の見通しが晴れることはなさそうだ。
日経平均株価は週次で6月中旬以来の値上がり
日経平均(N225)の1日の終値は3万2710.62円。週次でみると1086.34円(3.4%)高で、6月12-16日週の1440.91円(4.5%)高以来の値上がりとなった。日経平均は7月3日にバブル後最高値となる3万3753円を付けた後、8月18日には3万1450円まで約2300円値下がり。この下落幅の半分程度を、前週の173円高とあわせて取り返している。
日経平均を上向かせたのは米国の景気の過熱感の和らぎだ。1日に発表された8月の雇用統計は非農業部門の就業者数が前月比18.7万人増。市場予想(17.0万人増)は上回ったものの、6月の増加幅が18.5万人から10.5万人へ、7月の増加幅も18.7万人から15.7万人へ下方修正されたこともあり、労働市場が落ち着いていると受け止められた。また8月の失業率は3.8%で、2022年2月以来の高さだった。一方、平均時給は前月比4.3%増で、引き続き高水準を保っている。
米国では2023年4-6月期の実質成長率が2.1%へ下方修正されたり、7月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が市場予想を下回ったりしたことも、景気の沈静化を示す材料とみなされた。景気の強さは物価上昇圧力の強さにつながり、FRBの利上げによる金利水準の高まりが株価を下押しするとのシナリオを意識させるだけに、このところの経済指標は株式市場に安心感を与えている。S&P500(SPX)の1日の終値は1週間前比で2.5%高となり、日経平均同様、6月12-16日週(2.6%高)以来の値上がりとなった。
ただし米国の株式市場の先行き不透明感は強いままだ。米国の物価上昇率は依然として高く、FRBのジェローム・パウエル議長は追加利上げの可能性を否定していない。1日のニューヨーク債券市場では長期金利(10年物米国債利回り)が4.181%で取引を終え、前日から約0.09ポイント上昇した。長期金利は8月21日に15年9か月ぶりの水準に達しており、株価にとって不安材料となっている。
また、S&P500には9月は不振に陥りやすいというデータもある。2000年以降のS&P500の月次の騰落率をみると、9月は平均1.5%安で1-12月の中で最も悪い成績だ。直近でも2020年9月は3.9%安、2021年9月は4.8%安、2022年9月は9.3%安と悪い数字が続く。米国経済が物価上昇の抑制と景気悪化の回避を両立する軟着陸(ソフトランディング)に向かうムードが後退すれば、9月の株価にショックが走るリスクもちらつく。
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