日経平均に日銀効果 3万7000円目前へ加速 S&P500大台
日経平均は日銀の金融緩和継続姿勢を好感。S&P500は5000の大台を達成した。割高感もあるが、投資家心理は明るい。
日経平均株価の上昇が加速した。9日の終値は1週間前比で739.40円の上昇。前週の406円高を上回る値上がりで、3万7000円台が目前に迫っている。日本銀行の大規模金融緩和継続姿勢が好感されたことが要因のひとつで、バブル期の史上最高値の更新が現実味を帯びつつある。また、アメリカの株式市場もS&P500種株価指数が史上初の5000台に乗せるなど好調を維持。日米の株価上昇は株価の割高感も強めているが、投資家心理は明るく、株式相場の勢いを裏付けている。
日経平均は史上最高値まであと2000円余りまで上昇
日経平均(N225)の9日の終値は3万6897.42円。2023年末からの上昇幅は3400円を超え、1か月強で10%超の値上がりとなっている。9日の取引時間中には3万7000円台に乗せる場面もあった。約34年前の史上最高値(3万8915.87円)まではあと2000円余りで、記録更新が夢物語とはいえない状況になってきた。
日経平均の上昇は日銀の金融緩和継続への期待で後押しされた。内田真一副総裁は8日の講演で、マイナス金利政策を解除した場合でも、「その後にどんどん利上げをしていくようなパスは考えにくい」と述べた。株式市場では、マイナス金利解除が金利上昇を招いて株価を下げるとの不安が和らぎ、8日の日経平均は前日比740円超の値上がりとなった。
アメリカではS&P500が大台の5000を達成
日本の株式市場同様にアメリカの株式市場も好調だ。S&P500(SPX)の9日の終値は5026.61で、1週間前比1.37%高。11月初めからの15週のうち値下がりしたのは年明けの第1週だけで、この間の上昇率は18%超に達している。S&P500は8日にも一時、5000台に乗せていたが、終値では5000割れ。しかし2度目の挑戦となる9日は難なく大台を突破した。
アメリカ株の好調は連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待に支えられている。CMEグループのデータによると、3月19、20日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間10日午前10時段階で約17%でしかないが、5月のFOMCまでの利下げについては約80%の確率が見積もられている。FRBのジェローム・パウエル議長は4日夜放送のテレビインタビューで利下げへの過剰な期待を牽制してS&P500の上昇に冷や水をかけたが、金融市場では「春には利下げ」とのシナリオは崩れていない。
日経平均の予想PERは22.28倍まで上昇
一方、日米の株価上昇は割高感も生んでいる。日経平均プロフィルによると、日経平均の水準と構成企業の年度ベースの予想収益から算出される株価収益率(PER)は9日終値時点で22.28倍。予想PERは2023年末は20倍前後、2022年末は15倍程度だったことを考えれば、高水準に達してきたといえる。予想PERは企業の業績見通しによっても大きく変化し、新型コロナウイルス禍の不安が拡大した2020年5月には40倍を超えたこともあったが、このところは株価上昇が予想PERの上昇につながっている。
アメリカでも、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出されるPERは20倍程度で推移。FRBが利上げを始めた2022年3月以降は20倍未満で推移してきたが、このところは利下げ期待の高まりがS&P500を押し上げ、企業業績の見通しの引き上げペースを上回っている。
ただ、アメリカの投資家心理は明るい。個人投資家協会(AAII)の週次調査によると、今後6か月のS&P500の値動きに強気な投資家の割合は7日調査時点で49%。弱気な投資家の割合(22.6%)を大きく上回っている。アメリカの株式市場の好調さは日本の投資家心理も明るくするだけに、日経平均にとっても好条件といえそうだ。
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