日経平均、3週急落 バブル崩壊期以来 円高の業績見通しへの影響は?
日経平均株価は1週間前比1757円安。3週連続で1000円超の値下がりとなった。今後は円高の企業業績への見通しが焦点のひとつだ。
日経平均株価の急落が止まらない。2日の終値は1週間前比で1757円安。3週連続での1000円を超える値下がりというバブル崩壊期以来の悪い記録となった。7月11日の最高値からの下落率は約15%に達し、投資家心理の冷え込みがさらに進んだ。値がさ半導体株にとどまらない、幅広い銘柄の値下がりが感じられる。歴史的な急落の要因はドル円相場で急激に進んだ円安。半面、日経平均の急落は株価の割高感を薄れさせる効果も生んだ。こうした中、今後、日本企業の決算発表で示される業績見通しが好材料になり、買い戻しが始まる可能性もある。ただ、株式市場にはアメリカ経済下振れ懸念という悪材料も加わっており、見通しは晴れない。
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日経平均株価は3週連続1000円超安 1990年以来
日経平均(N225)の2日の終値は1週間前比で1575.71円安の3万5909.70円。米国のドナルド・トランプ前大統領の発言が半導体株安につながった7月15-19日週(1126.89円安)、円高が151円台まで進んだ22-26日週(2396.38円安)に続く、3週連続での急落だ。LSEGのデータによると、日経平均が3週以上連続で1000円超下落するのは、バブル崩壊期にあたる1990年8月6-10日週までの3週連続以来、史上2回目だ。
また、日経平均の2日の終値は7月11日につけた最高値(4万2224.02円)から14.95%安にあたる水準。1月26日(3万5751.07円)以来の安値となった。また、2日の終値は前日比でみれば2216.63円安で、1987年10月20日(3836.48円安)以来の史上2番目の大きさとなった。歴史的な急落が日経平均の見通しを悪くしている。
半導体株が大幅安 TOPIXは日経平均より悪い結果に
日経平均を構成する個別銘柄の値動きをみると、週次での下落への寄与度は引き続き半導体株が大きかった。英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社に持つソフトバンクグループ(9984)は14.24%の値下がりで、日経平均を256円押し下げ。半導体基板を手掛ける信越化学工業(4063)や半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)も値下がりへの寄与度が大きかった。
また、株式相場の値動きからは、日経平均構成銘柄にとどまらない、幅広い銘柄の値下がりも感じられる。東京証券取引所の2000以上の上場銘柄で構成される東証株価指数(TOPIX)の週次での下落率は6.00%で、日経平均の4.67%安を超えた。前週や前々週は日経平均の下落率がTOPIXの下落率を上回っていただけに、値下がり銘柄の広がりがうかがわれる値動きといえそうだ。
ドル円相場の円高は雇用統計後に146円台まで進行
直近の株価下落の引き金を引いたのはドル円相場(USD/JPY)で進む円高だ。8月1日には一時、1ドル=148.48円をつけ、7月3日につけた161.99円から約1か月で13.51円の円高が進んだ。31日に、日本銀行の植田和男総裁が追加利上げも辞さない姿勢を示す一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が9月利下げを示唆したことが、日米金利差縮小による円高進行の見通しを強めた。
また、日本の株式市場の2日の取引終了後に発表された、アメリカの7月雇用統計は失業率が4.3%まで悪化。FRBの9月の利下げは0.5%幅になるとの見方も強まり、ドル円相場の2日のニューヨーク市場での終値は1ドル=146.54円まで円高が再進行した。日経平均の2023年以降の上昇は円安と足並みをそろえて進んできただけに、急激な円高は株式市場の投資家心理を一気に冷やしている。
日経平均の割高感に和らぎ 企業業績見通し改善に期待も
ただ、日経平均の急落の結果、企業業績に対する株価の割高感は和らいできた。日経平均プロフィルによると、日経平均の水準と会計年度ベースの予想収益に基づいた株価収益率(PER)は2日終値時点で19.56倍。12月8日(19.35倍)以来、約8か月ぶりの低さとなっている。また、急激な円高が進んだとはいえ、約1年半前の2023年1月には127円台をつける場面もあったことを考えれば、146円はまだまだ円安といえる水準。ドル円相場が企業業績に与える影響も明確ではなく、人工知能(AI)ブームを背景にした世界的な半導体需要の拡大見通しも残っている。
このため今後の日本企業の決算発表で先行きへの明るい見通しが示されるなどすれば、日経平均にとっては好材料となりそうだ。7日にはソニーグループ(6758)とソフトバンクグループ、8日には東京エレクトロンの2024年4-6月期決算発表が予定されている。アドバンテストは7月31日の決算発表で2025年3月期の業績予想を引き上げ、2日の終値は週次で14.68%高と孤軍奮闘した。
とはいえ7月の米国の雇用統計は日経平均に新たな不安材料が加わった形。米国のS&P500種株価指数(SPX)と日経平均の値動きはほぼ一致して推移してきただけに、米国株に強い下落圧力がかかれば、日経平均の見通しが悪くなることも考えられそうだ。
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