OPECプラス、減産めぐり相違も 4日閣僚会合 原油価格は下落傾向
4日のOPECプラス会合を前にサウジとロシアの意見が割れている。前回会合ではサプライズ減産を決めており、結果に注目が集まる。
サウジアラビアが率いる石油輸出機構(OPEC)とロシアなど非加盟国で作るグループ「OPECプラス」は4日にウィーンで合同閣僚監視委員会(JMMC)を開く。サウジアラビアは追加減産に前向きとみられている一方、ロシアは現状の生産規模の維持を支持しているもようだ。OPECプラスは4月の前回会合では開催前日に各国がそろって減産方針を表明し、原油価格を急上昇させた。ただ、原油価格は再び下落しており、今後の原油需給の見通しやドル相場の推移をにらみながらの判断になるとみられる。
原油減産でサウジとロシアの意見分かれる
ロイター通信によると、サウジアラビアのエネルギー相を務めるアブドゥルアジズ・ビン・サルマン王子は5月23日にカタールで開かれたイベントで、原油市場の投機筋について「痛い目にあうだろう」と述べた。サルマン氏は4月の価格急上昇時に投機筋が損失を被ったとしており、OPECプラスとして再び価格を急騰させる意図を示唆したとみられている。
一方、非加盟国のリーダーであるロシアのアレクサンダー・ノバク副首相は25日に「新しい施策がとられることはない」との見方を示したと報じられている。4月に減産を表明したばかりであることや、夏場には原油需要が増し、価格に上昇圧力がかかると期待していることに言及したという。
OPECプラスは4月にサプライズ減産を決定
OPECプラスは前回の会合前日の4月2日、各国が自主的に生産量を削減する形での減産を表明。市場参加者の多くが「減産は行われない」とみている中での不意打ちを仕掛けた。原油価格の指標であるニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でのWTIの先物価格(翌月渡し)の3日の終値は、前週末よりも6.2%高い1バレル=80.42ドルまで上昇した。
しかし原油価格の上昇は83ドル程度で頭打ちとなり、5月31日の終値は68.09ドルという4月の不意打ち前よりも安い水準だ。また、31日に発表された中国の製造業購買担当者指数(PMI)が市場予想を下回る低さで、中国経済の復活に対する期待が薄れつつあることも原油価格の下落圧力といえる。
ドル相場下落なら原油価格の押し上げ要因に
これに対して、今後、米ドル相場が下落した場合は原油価格の押し上げ要因となる。ドル建てで取引される原油は、ドル安になれば米国以外の国が原油を買いやすくなるとされているからだ。米ドルの相対的な強さを表すドル指数は5月に入って、米国の経済指標の底堅さが意識される中で上昇してきた。しかし直近では米連邦準備制度理事会(FRB)幹部が6月の利上げ見送りに言及しており、ドルの先高観が和らぐとの見方も成り立つ。6月2日に発表される5月の雇用統計や、債務上限一時停止法案をめぐる米国議会の審議状況は不確実要素となっている。
産油国は減産で価格を引き上げれば収入が増える一方、原油高が長続きしなければ生産量低下による収入減効果の方が大きくなるリスクも膨らむ。こうした中、5月31日には、ロイター通信やブルームバーグ通信の記者が6月4日の会合の現地での取材許可が得られていないとも報じられており、OPECプラスが情報発信の在り方にも神経質になっている可能性もある。
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