米国市場に楽観見通し 恐怖指数がコロナ禍前の低さ S&P500再上昇
S&P500が最高値水準で推移する中、VIX指数はコロナ禍前の低さに。エヌビディアは最高値目前となり、22日の決算発表への期待が高まる。
アメリカの株式市場の見通しに対する楽観的なムードが深まっている。S&P500種株価指数が最高値水準で推移する中、投資家の不安度の高さを示す「恐怖指数」は新型コロナウイルス禍前の水準まで低下。株式相場の先行きに対する安心感が鮮明だ。また、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価も22日の2024年2-4月期決算発表を控え、上場来高値目前まで上がってきた。一方では、S&P500の割高感が徐々に高まっているという不安材料はあるものの、物価上昇懸念の緩和がもたらした上昇基調は崩れていないようだ。
恐怖指数(VIX)はコロナ禍前の水準まで低下
S&P500(SPX)の20日の終値は前週末比0.09%高の5308.13。わずかながらも2営業日連続で値上がりし、15日に1か月半ぶりに更新した最高値(5308.15)付近を維持した。
株式市場での緊張感の和らぎは、ウォール街の恐怖指数と呼ばれるVIX指数(VIX)の値動きにも表れている。VIXを算出しているシカゴ・オプション取引所(CBOE)によると、VIXは17日に11.99をつけ、2019年11月27日(11.75)以来の低水準に到達。20日も12.15という低さを維持した。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出される数値で、数字が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを意味する。
エヌビディアなど半導体株が大きく値上がり
こうした中、成長性への期待が高い半導体株も値を上げている。エヌビディア(NVDA)の株価は20日に前週末比2.49%高の947.80ドルまで上昇。3月25日につけた上場来高値(950.02ドル)に再接近した。22日の決算発表では5-7月期の見通しがカギを握るが、投資家は改めて強い数字が示されるとの見通しを持っているようだ。半導体株の20日の値動きでは、クアルコム(QCOM)も2.01%高、半導体製造装置のアプライド・マテリアル(AMAT)も3.71%高となり、エヌビディアと同様に大きく値を上げている。
アメリカのS&P500の予想PERは上昇基調が続く
一方、S&P500の最高値付近での値動きは、割高感にもつながっている。LSEGによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は20日時点で20.80倍。2022年10月半ばの15倍台からの上昇基調が続き、2020年以降の平均値(19.59倍)を上回っている。予想PERを1985年以降のデータでみると、20倍を超えている期間は全体の15%程度でしかなく、割高感が意識されやすい状況といえそうだ。
エヌビディア決算が好感されればS&P500の上昇加速か
ただ、15日の4月消費者物価指数(CPI)の発表で裏付けられた米連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも利下げに踏み切るとの見通しは今も崩れていない。CMEグループのデータによると、FRBが9月までに利下げすることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間21日午前11時段階で約60%となっている。株式市場の関心が集まるエヌビディアの22日の決算発表が好感されれば、投資家の間の楽観ムードがS&P500を押し上げる要因になる可能性がありそうだ。
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