ドル高材料途切れず 米金利上昇や原油高 約1か月半で円安10円
ドル円相場では米金利上昇に加え、原油高も新たなドル高材料と受け止められている。円安が急進する中、為替介入への警戒は強い。
外国為替相場に日本政府による円買い介入の影がちらついている。ドル円相場では約1か月半で10円の円安ドル高が進み、政府の口先介入も始まっているからだ。円安の背景にあるアメリカの金利上昇は、米国市場の3連休明けから改めて加速。また、原油高も米国内の物価上昇要因として、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利の高止まり観測を強めている。政府はほぼ1年前にあたる2022年9月22日に24年ぶりの為替介入を実施した経緯もあり、市場関係者の警戒感が高まっている。
ドル円相場は147円台後半で推移
6日のニューヨーク外国為替市場のドル円相場(USD/JPY)は1ドル=147.65円で取引を終えた。終値が147円台となるのは2日連続。約1か月半前の7月14日には137.23円をつける場面もあったことを考えれば、短期間で10円超の円安ドル高が急進している形だ。
財務省の神田真人財務官は6日午前の段階で、円安について「高い緊張感を持って注視している」「あらゆる選択肢を排除せずに適切に対処する」と述べた。それでもドル高圧力は治まらず、7日の東京市場のドル円相場は147円台後半での値動きが続く。
アメリカの金利上昇に加え、原油高もドル高要因に
ドル高の背景にあるのはアメリカの金利上昇だ。ニューヨーク債券市場での長期金利(10年物米国債利回り)は6日、4.290%で取引を終えた。長期金利は8月末に4.091%をつけていたが、このところの上昇で約15年9か月ぶりの高水準だった8月21日の4.342%の更新も視野に入ってきた。レイバー・デー(9月4日)の休日を終えて、米国の金融市場で実質的な下期が始まる中で、金利上昇の勢いは衰えをみせていない。
こうした金利上昇はFRBの政策金利が高止まりするとの観測に後押しされている。FRBのジェローム・パウエル議長は8月25日のワイオミング州ジャクソン・ホールでの講演で物価上昇と闘う姿勢を強調。追加利上げも辞さない考えを示した。また、サウジアラビアの自主減産などが材料となっている原油高も物価上昇につながる要因で、FRBの利上げの現実味が増すとの観測もある。
日本政府の為替介入1周年も近づく
一方、米国経済をめぐっては経済活動の落ち着きを示す材料もある。8月の雇用統計では非農業部門の就業者数の伸びが3か月連続の20万人割れ。2023年4-6月期GDPの実質成長率も2.1%に下方修正された。FRBは利上げを否定していないものの、利上げの終了時期が近づいていることも事実で、いずれはドル高圧力が薄らいでいく可能性がある。
とはいえ、足元のドル高圧力の強さは否めず、外国為替市場では日本政府の動きに注目が集まる。政府が24年ぶりの為替介入に踏み切った2022年9月22日の1周年も近づく中で、ドル円相場は神経質な動きが続きそうだ。
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