テスラ、株価5％上昇　マスク氏経営に集中　2025年成長予想は撤回

テスラの2025年1-3月期決算は市場予想を大きく下回る

テスラの1-3月期決算は総収入が前年同期比9.2％減の193.35億ドル。調整ベースの1株当たり利益（EPS）は40.0％減の0.27ドルだった。ブルームバーグがまとめた直前の事前予想は、総収入が213.66億ドル、1株当たり利益が0.43ドル。発表された実績はいずれも市場予想を大きく下回る結果だった。

EV事業の収入は前年同期比19.63％減　販売台数の減少率よりも悪い結果に

またテスラの1-3月期のEV事業の収入は139.67億ドルで、前年同期比19.63％減。やはり市場予想の157.56億ドルを大きく下回った。テスラの販売台数は決算発表に先立ち、前年同期比13.0％減の33万6681台だったと公表されていたが、収入ペースではさらに落ち込みが大きかったことになる。

2025年の業績の見通しは示さず　マスク氏は経営に集中へ

テスラは22日の決算発表資料の中で、世界的な通商政策の変化が自動車やエネルギーのサプライチェーンなどに与える影響を見積もることは難しいと言及。2025年の業績見通しを示さなかった。テスラは1月29日の前回（2024年10-12月期）決算発表では、EV事業について「成長に戻る」とし、マスク氏は2024年10月の決算会見で20-30％の成長を口にしていたが、公約は正式に撤回されたといえる。

一方、マスク氏は22日の決算会見で、5月以降はトランプ政権のアドバイザーとしての役割にあてる時間が「大きく減ることになる」と述べた。マスク氏はトランプ政権で連邦政府の人員削減などの陣頭指揮をとり、米国内でのテスラ車の不買運動の要因にもなっていた。

さらにマスク氏は決算会見で、「テスラの未来はこれまで以上に明るくなっている」と強調。6月にテキサス州オースティンで完全無人運転の有料運行を始める計画や、2025年前半の「より低価格な新型車」の投入についても自信を示した。

テスラの株価は時間外取引で5％高　株価への逆風は続く

こうした決算発表の内容を投資家はひとまず好感したようだ。テスラの株価（TSLA）は22日の時間外取引で一時、256ドル台まで上昇。直前の終値（237.97ドル）との比較では7％超の上昇率となった。その後は5％程度の上昇率で推移した。

ただ、テスラが2025年の業績見通しを示すことができない中、株価上昇への期待が後退していく可能性もありそうだ。テスラの株価は1月の決算発表時も、完全無人運転への期待が株価上昇につながったが、決算発表の3営業日後には下落基調に転じていった。バイブハブ・タネジャCFOは決算会見で「関税や悪いイメージによって短期的な課題に直面している」と認めており、テスラの株価の今後の見通しは引き続き、下落圧力にさらされることも考えられる。