米長期金利上昇どこまで? 金融危機前は5%台 S&P500に不安
アメリカの長期金利が15年11か月ぶりに4.5%台に到達。今後も上昇を続ければ、株価をさらに下押しするリスクも。
アメリカの金利上昇が加速している。25日のニューヨーク債券市場の長期金利(10年物米国債利回り)は2007年10月以来の4.5%台に到達。今月以降、長期金利の上昇が再加速している形だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は20日に政策金利を5.25-5.50%に据え置いたが、今後は政策金利が高止まりする方向性を示している。FRBの政策金利が現在とほぼ同水準だった金融危機前は長期金利が5%を超えたこともあり、今後も金利水準が上がり、下落に転じているS&P500種株価指数をさらに下押しする不安は拭えない。
アメリカの長期金利4.5%台は15年11か月ぶり
金融情報会社リフィニティブのデータによると、25日のニューヨーク市場の長期金利の終値は前日比0.102ポイント高の4.542%。終値で4.5%台に乗せるのは2007年10月17日(4.554%)以来、15年11か月ぶりだ。長期金利は8月21日に4.342%を付けた後、31日には4.091%まで下がっていたが、1か月も立たないうちに金利水準が約0.5ポイントも上昇する再加速をみせたことになる。
長期金利を押し上げたのは、FRBが9月20日に示した政策金利の見通しだ。FRBはこの日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送ったが、今後の政策金利の見通しとして2024年末は5.1%、2025年末は3.9%という水準を示した。6月時点の見通しでは、2024年末が4.6%、2025年末が3.4%とされていただけに、FRBが政策金利を高止まりさせるシナリオが強まった形だ。
現在の政策金利は歴史的にみて高水準にある。政策金利が5%以上になるのは、2006年5月から2007年9月にかけて以来。当時は2004年6月からの利上げサイクルの終盤で、エネルギー価格や資源価格の値上がりが物価上昇圧力を強めると懸念されていた時期だ。17か月にわたって政策金利が5%台で維持される中、長期金利は2007年6月12日には5.297%まで上昇した。こうした金利上昇を背景に、金融機関が保有する住宅ローン関連債権の値下がりなどの問題が金融危機を引き起こし、2008年9月15日のリーマン・ショックに至っている。
S&P500は2023年下半期に2.5%下落
今回の利上げサイクルで政策金利が5%台に突入したのは約4か月半前の5月4日。FRBの見通し通り2024年末でも5%台が維持されれば、20か月という長期にわたって政策金利が高止まりすることになる。現在は4.5%台に到達したばかりの長期金利がさらに上昇し、金融市場の波乱要因になる可能性はぬぐえない。
このところの長期金利上昇は株式市場の重石となってきた。S&P500(SPX)は2023年上半期には16%上昇していたが、下半期は25日までの段階で2.5%の下落となっている。金利水準の高止まりは、株式の投資先としての魅力を薄れさせるとともに、企業の資金調達を難しくして業績を下押しする要因になるだけに、株価の先行き不透明感は当面続きそうだ。
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