S&P500、史上最高値迫る 長期金利低下追い風 ハイテク株は停滞
長期金利は7月末以来の4%割れとなり、SP500の追い風に。ただ、金融市場には過剰な楽観も感じられる。
アメリカの株式市場でS&P500種株価指数が史上最高値に迫っている。14日の終値はあと1.6%強の上昇で記録を達成できる水準。株価の重荷になってきた長期金利(10年物米国債利回り)が7月末以来の4%割れを記録し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測の強まりが追い風となった形だ。ただ、金融市場はFRBの見通し以上の金利低下を織り込んでおり、行き過ぎた楽観も感じられる。S&P500への寄与度が大きい大手ハイテク株は上昇が停滞していることもあって、15日の取引ですんなりと史上最高値を更新できるかには不安も残る。
アメリカの株式相場の上昇に勢い
S&P500(SPX)の14日の終値は前日比0.26%高の4719.55。2022年1月3日につけた史上最高値(4796.56)まであと1.63%に迫っている。S&P500は7日から6営業日連続で値上がりしており、この間の上昇率は3.74%。ダウ工業株30種平均(DJI)はすでに13、14日の2日連続で史上最高値を更新しており、米国の株式市場が勢いづいている。
相場のムードを明るくしているのは長期金利の低下だ。LSEGによると、14日のニューヨーク債券市場の終値は3.93%で、7月31日以来の4%割れ。その後、3.8%台で取引される場面も出ている。FRBが13日に公表した政策金利の見通しが、2024年に0.25%幅の利下げが3回行われることを示す内容だったことが、金利の先高観の和らぎにつながった。長期金利は8月1日のフィッチ・レーティングスによる米国債の格下げや、FRBが9月に2024年も政策金利を高止まりさせる方向性を示したことなどから、10月下旬には一時、5%台に達していた。
長期金利低下への期待は行き過ぎ?
ただ、長期金利が低下するとの期待には行き過ぎ感もある。LSEGによる日本時間15日午後段階の金融データの分析によると、金融市場では2024年12月の政策金利の水準が3.8%程度になると見込まれている。現在の政策金利が5.25-5.50%であることを考えれば、1年間で約6回の利下げがないと到達できない水準だ。FRBが見込む利下げ回数の倍にあたる過度な数字といえる。今後、投資家が金利低下予想を修正していけば、長期金利が上昇し、株価の下押し圧力となる可能性も残っていそうだ。
長期金利低下に対する株式市場の反応には冷ややかさもある。14日の株式市場ではS&P500の上昇にも関わらず、大手ハイテク株は不調。マイクロソフト(MSFT)の株価は2.25%安、アマゾン・コム(AMZN)の株価は0.95%安だった。両社を含むマグニフィセント・セブンと呼ばれる7銘柄は、半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価が2022年末比で3.3倍になるなど大幅な伸びを示してきただけに、これ以上の上昇は期待しにくいとの慎重な見方も強いとみられる。
S&P500の算出では時価総額が考慮され、規模が大きい大手ハイテク株の伸び悩みは指数全体の足を引っ張る。FRBの利下げ方針への転換は金融市場を大きく沸かせているものの、S&P500の史上最高値達成までに時間がかかることも想定される。
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