金利高が米株下押し S&P500マイナス続く 日経平均は円安で上昇
米国の金利高を背景にS&P500が3か月ぶりに2週連続で下落。一方、米金利高は円安を通じて日経平均を押し上げた。
米国の株式市場に下押し圧力がかかっている。S&P500種の週次の騰落率は11日の終値で2週連続のマイナスを記録。一方、日経平均株価は2週ぶりのプラスとなっており、明暗が分かれた。米国の株安には米国債の格下げを機に起きた長期金利上昇が影響しており、先行き不安がくすぶっている。一方、米国金利上昇は円安ドル高を通じて日本株を押し上げる要因になった。ただ、日経平均は6月下旬以降は均衡状態が続いており、しばらくは方向感が出にくい値動きになる可能性がある。
S&P500下落でも日経平均上昇は3か月ぶり
S&P500(SPX)の11日の終値は4464.05で、1週間前と比べて0.31%の下落となった。S&P500は前週も2.27%安。2週連続での値下がりは、5月前半以来約3か月ぶりだ。一方、日経平均株価(N225)は3連休前の10日の終値が3万2437.65円で、週次では0.87%上昇した。S&P500の下落にも関わらず日経平均が上昇するのも、やはり5月前半以来だ。
米株安の背景には、長期金利(10年物米国債利回り)の上昇がある。金融情報会社リフィニティブのデータによると、ニューヨーク債券市場での長期金利は、フィッチ・レーティングスが米国債を格下げした2日後にあたる8月3日に、2022年11月7日以来9か月ぶりの水準となる4.189%まで上昇。その後、ショックは和らいだかにみえたが、10日発表の7月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇率低下が足踏みすると、長期金利は改めて上向いた。金利水準が上がると、株式の投資先としての魅力が相対的に薄れ、株価には下落圧力がかかるため、投資家心理が冷えているもようだ。
円安ドル高は9か月ぶり水準の144.96円
一方、米国の金利上昇は日経平均値上がりの要因になっている。米国の金利高の結果、外国為替市場でドルを買う動きが強まり、ドル円相場(USD/JPY)が円安ドル高に振れているからだ。リフィニティブによると、11日のニューヨーク市場のドル円相場は1ドル=144.96円で取引を終え、1日の終値としては2022年11月9日以来9か月ぶりの高さとなった。円安は日本の輸出企業や訪日外国人(インバウンド)関連企業の業績を改善するとされ、日本株上昇への期待を高めている。
ただ、日経平均株価の週次での騰落率は6月中旬以降、プラスとマイナスを繰り返しており、10週連続の上昇を記録した上半期の勢いは失われている。また円安は日本政府による為替介入の可能性を思い出させる水準となっており、投資家の警戒感も出てきそうだ。取引参加者が減るお盆休みの期間は相場の値動きが小さくなるとされ、日経平均の一進一退が続く可能性がある。
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