米雇用統計でドル安進行も 9月も過熱緩和予想 為替介入への警戒続く
アメリカの9月雇用統計は労働市場の過熱感が和らぐ見込み。予想に反して強い場合でもドル高の動きは限定的になりそうだ。
アメリカの労働省が6日に発表する9月の雇用統計は労働市場の過熱の緩和が予想されている。米国経済の落ち着きを感じさせる結果となれば、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を高止まりさせることへの警戒が薄れ、ドル円相場を円高ドル安方向に動かす可能性がある。一方、米国の労働市場をめぐっては3日の雇用動態調査(JOLTS)が過熱感を示したばかりだが、ドル円相場は瞬間的に1ドル=150円台に突入した後、急落した。外国為替市場で日本政府の為替介入に対する最大級の警戒が続く中、仮に9月の雇用統計が予想に反して強かった場合でも、ドル高の動きが限定的になることも想定される。
9月の雇用統計は就業者数が17.0万人増の予想
9月の雇用統計は6日午前8時30分(日本時間6日午後9時30分)に発表される。ロイター通信のエコノミスト調査によると、非農業部門の就業者数は前月比17.0万人増の予想。8月の18.7万人増を下回り、4か月連続の20万人割れになるもようだ。一方、失業率は3.7%と見込まれ、8月(3.8%)から低下する見通し。平均時給の伸び率は前年同月比4.3%で、8月と同じ水準になるとみられている。
就業者数の増加が予想通りの結果となれば、米国の労働市場の過熱感が継続的に和らいでいるとみなされそうだ。これまでの労働市場の強さは米国の消費を活性化させ、物価上昇を招いているとされてきた。過熱感の緩和が確認された場合は、物価上昇率の低下を目指すFRBが政策金利をさらに引き上げ、高止まりさせるという観測を弱め、ドル円相場では円高ドル安圧力として働く可能性がある。6月の雇用統計が下振れた際は、その後発表された6月の消費者物価指数(CPI)の下振れと合わせて、137円台までの大幅な円高ドル安進行のきっかけとなった。
一方、米国の労働市場をめぐっては、過熱感を示すデータも発表されている。3日発表の8月の雇用動態調査は非農業部門の求人件数が7月の実績や事前予想を上回り、ドル円相場では円安ドル高が進行。発表直後に2022年10月21日以来の水準にあたる1ドル=150.16円をつけた。このため9月の雇用統計が予想に反して強かった場合は、改めて一旦は、円安ドル高方向に相場が動きそうだ。
為替介入に対する最大級の警戒感が続く
ただしドル円相場(USD/JPY)をとりまく、為替介入に対する警戒感は最大級に達している。3日のドル円相場は150円台に到達した直後に147円台まで急落。日本政府が実際に介入を行ったとの見方も広がったが、ブルームバーグは日本銀行が4日に発表した5日分の当座預金残高予想の分析から、介入があった可能性は低いと報じている。介入なしでもドル円相場が急落したとすれば、150円以上の領域に踏み入れた後で介入による急激な円高ドル安が起きて損失を被ることへの恐怖心の大きさの現れだといえる。
このため9月の雇用統計発表後に相場が円安ドル高に動いたとしても、上値は重くなる可能性がある。雇用の強さがドル高要因となる中で、為替介入への恐怖心とのせめぎあいが起きるという神経質な展開が予想されそうだ。
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