FXのブレイクアウト手法とは?2つのメリットや有効な手法などを解説
FXのブレイクアウト手法は、特に価格が一定の範囲内で推移するレンジ相場が続く場面や、強いトレンドがある場合に効果的です。FXのブレイクアウト手法におけるメリットやデメリット、4つの取引ステップなどについて解説します。
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FXのブレイクアウト手法とは
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FXのブレイクアウト手法とは、サポートラインやレジスタンスラインを突破したあと、その方向に大きく値動きしやすいことを狙った手法のことです。
ブレイクアウト手法は、うまくエントリーできれば大きな利益が期待できます。しかし、価格の変動が激しい傾向があるため、リスクも高いことを理解しておかなければなりません。
FXのブレイクアウトとは
FXのブレイクアウトとは、一定の範囲内で動いていた通貨ペアの価格が、その範囲を突破する現象を指します。突破した方向に価格が動き続ければ、大きな利益を見込めるため、このタイミングで取引するトレーダーも多いです。
FXのブレイクアウトには大きく分けて、「上方ブレイクアウト」と「下方ブレイクアウト(ブレイクダウン)」の2種類が存在します。上方ブレイクアウトは、価格が一定の範囲の上限を突破したときに発生し、価格の上昇が予想されます。一方、下方ブレイクアウトは、価格が範囲の下限を突破したときに発生し、価格の下落が予想されるパターンです。2種類のブレイクアウトを理解し、状況に応じて適切に取引することが重要です。
FXのブレイクアウト手法のメリット
次に、FXのブレイクアウト手法を利用する2つのメリットを紹介します。
1. エントリーポイントが判断しやすい
FXのブレイクアウト手法における大きなメリットとして、エントリーポイントが判断しやすいことが挙げられます。なぜなら、価格が一定の範囲(レンジ)を超えた時点をエントリーポイントとする手法だからです。
具体的には、レンジ相場の上限(レジスタンスライン)を超えた瞬間、または下限(サポートライン)を下回った瞬間が、トレードのエントリーポイントになります。そのため、エントリーポイントがわかりやすく、FX初心者でもいつ取引を開始すればよいか判断しやすいのです。
2. 大きな利益を狙える
FXのブレイクアウト手法は、その特性上、大きな利益を狙うための手法としても評価されています。通常、ブレイクアウトは価格が一定の範囲を突破する瞬間に発生するものです。
こうした突破には強い勢いが伴い、一度ブレイクアウトが発生すると、その勢いはしばらく続く可能性があります。エントリーポイントが適切であれば、高いリターンを得るチャンスがあるのです。
ただし、FXのブレイクアウト手法は、失敗すれば多大な損失を伴います。従って、利益を最大化するためには、ブレイクアウトの判断、エントリーおよびエグジットのタイミングを取引戦略に正しく組み込むことが大切です。
FXのブレイクアウト手法のデメリット
FXのブレイクアウト手法は、エントリーポイントがわかりやすく大きな利益を狙えるチャンスがあります。しかし、デメリットも存在します。
1. ダマシが発生する
FXのブレイクアウト手法を用いる際の注意点として、「ダマシ」の存在が挙げられます。ダマシとは、ブレイクアウトが発生したかのように見えるものの、その後すぐに価格が元のレンジに戻ってしまう現象を指します。
特に、逆指値注文を設定しない場合にダマシが発生してしまうと、思わぬ損失につながるかもしれません。そのため、ダマシが発生する可能性を考慮し、エントリーと同時に逆指値注文を入れておくことをおすすめします。
2. エントリーポイントが少ない
FXのブレイクアウト手法を利用する際には、エントリーポイントが限られることもデメリットとなります。ブレイクアウト手法では、価格が一定範囲(レンジ)を超え、新たなトレンドに転換するタイミングがエントリーポイントとなります。
「レンジ」は価格が上下に一定範囲で揺れ動く相場のことを指し、「トレンド」は価格が一方向に持続的に動く相場です。FXでは、この2つの状態が交互に発生します。そして、その切り替わりの瞬間がブレイクアウト手法のエントリーポイントとなります。
しかし、トレンドへの転換は必ずしも頻繁に起こるものではないため、エントリーポイントが少ないことを理解しておかなければなりません。そのため、FXのブレイクアウト手法を使う際は、適切な取引タイミングを見極め、チャンスを逃さないスキルが必要です。
FXのブレイクアウトを狙う基本的なエントリー手法
ここでは、FXのブレイクアウトを狙う基本的なエントリー手法を2つ紹介します。
1. レンジ相場
FXのレンジ相場とは、価格が一定の範囲内で上下している状態を指します。このレンジの上限(レジスタンスライン)や下限(サポートライン)を突破するタイミングにエントリーするのがこの手法です。
具体的なエントリーポイントと売買方法は、以下のとおりです。
レジスタンスラインのブレイクアウト:レンジの上限を突破したとき、買いポジションでエントリーする
サポートラインのブレイクアウト:レンジの下限を突破したとき、売りポジションでエントリーする
以下のチャートは、サポートラインのブレイクアウトで売りエントリーをするケースを示しています。
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2. トレンドライン
トレンドラインでのブレイクアウトは、一定方向に値動きが進行している状態、つまりトレンドが形成されている場合に使用する手法です。
トレンドラインは価格の高値や安値を結んで描かれ、上昇トレンドや下降トレンドを示します。
ブレイクアウトは、これらのトレンドラインを突破した時点をエントリーポイントとして捉えます。例えば、上昇トレンドラインを下抜けたら売り、下降トレンドラインを上抜けたら買いというのが一般的な戦略です。
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しかし、トレンドラインのブレイクアウトでもダマシが発生する可能性があることには注意しなければなりません。一時的にラインを突破したかのように見えても、すぐに元の水準に戻ることがあるからです。
FXのブレイクアウト手法における4つの取引ステップ
ここでは、FXのブレイクアウト手法を進めるための4つの取引ステップを紹介します。
各ステップを詳しく説明していきます。
1. ドンチャン・チャネル(DNC)をチャートに追加する
まずは、チャート(1時間足から4時間足チャートまで)に、「ドンチャン・チャネル」というインジケーターを55の入力設定で追加します。
以下は、ドンチャン・チャネルを反映させたポンド/豪ドルの4時間足チャートです。
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日足チャートなどの長期足での取引では、取引シグナルが少なく、長期間の取引になる傾向があります。そのため、ブレイクアウト手法に慣れるためには、短めの時間足での取引が効果的です。
2. トレンドの方向を見極める
次に、トレンドの方向を見極めましょう。トレンドに従うことには、複雑な戦略から解放されることと、トレンドの方向に沿ってより多くのpips(銭)を獲得できることの2つの大きな利点があります。
この考え方は、ドンチャン・チャネルを使用した取引にも当てはまります。例えば、移動平均線やMACD、一目均衡表などが、トレンド分析に使用されるインジケーターとして代表的です。
本記事で紹介する手法も、トレンドに基づいてフィルターをかけ、シグナルに一定の傾向を持たせる方法を採用しています。
3. エントリーポイントを見つける
トレンドの方向を確認できたら、トレンドとドンチャン・チャネルを組み合わせてエントリー価格を特定します。
以下のチャートでは、最適なエントリーポイントと次に有効なエントリーポイントを示しています。
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例えば、上昇トレンドの場合、ドンチャン・チャネルの上限を1pip超えたところで買い注文を入れるのが理想です。最もよいタイミングは、価格がドンチャン・チャネルの上限に初めて達したときです。
ただし、トレンドがすでにある程度進行している場合、価格が反転する可能性が高くなることに注意しなければなりません。
一方、下降トレンドの場合は、ドンチャン・チャネルの下限を1pip下回ったところで売り注文を検討します。こちらも、最もよいタイミングはドンチャン・チャネルの下限に初めて達したときです。
4. エグジットポイントを見つける
取引を開始するポイントを決めた後、次に重要なのはいつ取引を終了するかです。この戦略では、多くのプロトレーダーが好んで使う手動トレーリングストップを採用します。
トレーリングストップは、反対側のドンチャン・チャネルの価格に設定します。以下のチャートでは、最初の逆指値注文とトレーリングストップの推移を示したものです。
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例えば、トレンドが上向きであれば、ドンチャン・チャネルの下限が逆指値注文を入れる価格となります。取引を長く続ければ、時間の経過とともにドンチャン・チャネルの下限と逆指値注文が上に移動するため、損失が少なくなっていきます。つまり、取引を長く続ければ続けるほど、トレーリングストップはより有利な方向に動くということです。
また、多くのトレーダーは「ドンチャン・チャネルを使わずにブレイクアウト取引ができるか」と疑問に感じるかもしれません。FXのブレイクアウト手法の基本は同じであるため、たとえドンチャン・チャネルを使用しなくても問題ありません。
基本的な手法は、サポート(支持線)とレジスタンス(抵抗線)の水準を見つけ、それらを突破する価格を狙うことです。どのような戦略でも、エントリーとエグジットのルールは取引計画の一部にすぎません。
エントリーとエグジットだけに注目するのではなく、取引する口座の規模に合ったリスクを取ることも理解しておきましょう。
まとめ
FXのブレイクアウト手法は、エントリーポイントが多いとは言えませんが、成功すれば大きな利益を狙える可能性があります。
ただし、他の手法と同様にダマシには注意しましょう。ブレイクアウト直後の値動きに注目し、慎重にエントリーポイントを検討することが大切です。
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