英ポンド7年半ぶり高値 昨年末比14%上昇 ドルやユーロしのぐ
英国の物価上昇は米国やユーロ圏より根強く、金利の先高観は強い。21日発表の5月CPIで円安・英ポンド高が強まる可能性も。
英ポンドが対円で7年半ぶりの高値水準で取引されている。19日は1ポンド=182.1円をつける場面もあり、年初来の上昇率はドルやユーロをしのぐ大きさだ。背景にあるのは、英国の物価上昇率の高さ。消費者物価指数(CPI)の伸び率は米国やユーロ圏よりも高く、21日に発表される5月の数字でもコア指数の伸び率は横ばいになるとみられている。実際の数字が上振れすれば、英国の政策金利の先高観がさらに強まり、ポンド高をいっそう後押しする局面も想定されそうだ。
英ポンド円は2015年12月18日以来の高値
金融情報会社リフィニティブのデータによると、ポンド円相場(チャート)で182.1円をつけるのは2015年12月18日以来。昨年末からの上昇率は14.8%に達しており、ドル円の約8%、ユーロ円の約11%と比べて大幅な上昇だ。
英国の5月のCPIはコア指数で横ばい予想
円安ポンド高が進んでいるのは、英国の物価上昇の激しさが投資家に意識されているからだ。4月のCPIの前年同月比伸び率は、総合指数で8.7%、エネルギーと食品、酒類、タバコを除いたコア指数で6.8%という高さ。21日発表の5月の数字に関しては、ロイター通信のエコノミスト調査で、総合指数が4月から微減の8.5%、コア指数が横ばいの6.8%と見込まれている。
米国では5月にコア指数の伸び率が5.3%まで下がった。ユーロ圏も同じ水準だ。米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は引き続き物価上昇への警戒を緩めていないが、英国の物価上昇の厳しさは中央銀行による利上げの必要性がより高いことを感じさせる。
実際、英中銀のイングランド銀行(BOE)は物価上昇を抑え込もうと、2021年12月以降の金融政策委員会(MPC)で12回連続の利上げ決めてきた。この結果、政策金利は4.5%に達している。前回(5月)のMPC後の声明でも「さらなる金融引き締めが必要になる」可能性を示唆しており、ロイター通信の調査では22日に結果が発表される6月のMPCについて、64人のエコノミスト全員が0.25%の利上げを見込む。
英中銀は利上げ継続の見通し
また、リフィニティブのデータによると、金融市場では英国の政策金利は2024年2月時点で5.82%まで上昇すると想定されている。0.25%幅の利上げがあと6回は必要になる水準だ。5月のCPIが予想よりも強く、これまでの利上げが物価抑制効果を十分に発揮できていないと判断されれば、こうした金利の先高観がさらに強まる可能性もある。
一方、外国為替市場では日本政府による円買い介入の可能性も意識されている。日本銀行が大規模金融緩和の維持を決めた16日には、円相場は対ポンドだけでなく、ドルやユーロ、豪ドルに対しても下落した。政府がこうした急速な円安を問題視して為替市場に介入した場合は円安の流れに急ブレーキがかかるシナリオも想定されそうだ。
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