金価格上昇にブレーキ 最高値から5%超安 強いCPIは逆風の見通し
金価格が7日に急落。雇用統計の強さが要因で、約1か月半ぶりの下落率となった。12日の5月CPIやFOMCも金価格の見通しを左右しそうだ。
金価格が急落した。前週末7日のニューヨーク市場の終値は前日比2.76%安で、約1か月半ぶりの下落率。この日発表されたアメリカの5月雇用統計で労働市場の強さが示され、ドル高が進んだことが影響した。5月下旬につけた最高値からの下落率は5%を超える場面もあり、上昇基調の弱まりが感じられる。米国で12日に発表される5月の消費者物価指数(CPI)と連邦公開市場委員会(FOMC)の結果でもドル高見通しが強まれば、金価格にとってはさらなる逆風になりそうだ。
金価格が1か月半ぶりの大幅下落を記録 ドル高進行で
LSEGによると、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物価格(中心限月)の7日の終値は1オンス=2325ドル。前日比2.76%安は4月22日の2.79%安以来の大きさだ。金のスポット価格(スポット金)も7日に大幅に下落し、日本時間の10日午前は2200ドル台後半での取引が目立っている。
金が急落したきっかけは、7日に発表された5月雇用統計で、非農業部門の就業者数が前月比27.2万人増となるなど、労働市場の強さが感じられたことが要因。米国経済の強さはドル高見通しにつながり、ドルの相対的な強さを示すドルインデックス指数(ドルインデックス指数)は前日比0.75%高となった。金融市場では、ドルが高くなれば海外の投資家にとってはドル建てで取引される金価格が高くなることから、金が買われにくくなるとされる。
金価格はFRBの金融政策の見通しで大きく変動
こうしたドル高の進行はこのところのドル安の流れに反する動きだ。ドルインデックス指数は4月30日には106.22をつけていたが、6月6日には104.10まで約2%下落していた。5月に発表された雇用統計やCPIが労働市場の過熱感の弱まりや物価上昇の減速を示し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しが裏付けられたためだ。7日発表の5月雇用統計はこうした利下げ観測を裏切る結果といえる。
また、金価格が5月20日に最高値の2438.50ドルをつけた後、伸び悩んだ事情にもFRBの利下げが進まないのではとの観測があった。金価格が23日に2.33%安を記録した際は、前日に発表された5月1日までのFOMCの議事要旨で利下げの難しさ感じられたことが要因。この議事要旨では、複数の参加者から「さらに金融を引き締める」とことも辞さない姿勢が示されていた。6月7日の安値の2304.20ドルは最高値から5.51%安の水準だ。
アメリカの5月CPIが強ければ金価格は下落か
このため今後の金価格の見通しは、米国で12日午前に発表される5月CPIや、同日午後に発表されるFOMCの結果でも大きく左右されそうだ。5月CPIで物価上昇の根強さが感じられれば、雇用統計での労働市場の強さとあわせてFRBの利下げの難しさが材料視され、ドル高や金価格下落につながりそうだ。また、FOMCでは政策金利維持が確実視されているものの、FRBが示す経済見通しで利下げへの消極姿勢が感じられれば、やはりドル高と金価格下落につながるとみられる。
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