日経平均に重圧 S&P500が高値から10%安 中東緊迫も影響
日経平均にとってS&P500の調整局面入りは重荷。週明けは日銀やFRBの政策決定などが予定され、波乱も見込まれる。
日経平均株価に重圧がかかっている。日経平均の27日の終値は1週間前比で267.67円安。このところは3万1000円を割り込む取引が目立ち、7月につけた直近の高値からの下落率が9%を超える場面もあった。株価を下押ししているのはアメリカの株式市場の不調で、S&P500種株価指数は27日の終値で高値からの下落率が10%を超え、「調整局面」入りの状態。大手ハイテク企業の業績や中東情勢の緊迫化が投資家心理を悪くしており、株式市場の先行きは暗い。31日以降は日米の中央銀行の政策決定などの重要予定がそろっており、株価の波乱も想定されそうだ。
日経平均は2週連続で週次マイナス
日経平均(N225)の27日の終値は3万0991.69円で、2週連続の週次マイナスとなった。下落幅は前週の1000円超よりは小さいものの、26日の終値では7月3日につけた年初来高値(3万3753.33円)からの下落率が9.3%になるなど、勢いの弱まりが続いている。28日早朝の日経平均先物(12月限)は3万0600円で取引を終えた。
また、米国の株式市場でもS&P500(SPX)の不振が続く。27日の終値は4117.37で、週次での下落率は2.53%。前週の2.39%安に続く、大幅な下落となった。7月31日につけた直近の高値(4588.96)からの下落率は10.3%で、調整局面入りの目安となる10%を超えた。
テスラの株価は下半期で20%超下落
S&P500下落の背景には大手ハイテク企業の業績の先行きに対する不安がある。電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA)や、グーグルなどを傘下に持つアルファベット(GOOGL)、フェイスブックなどを展開するSNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)は2023年7-9月期決算の内容や10-12月期の業績への不安が株価下落につながった。なかでもテスラは下半期に入ってからの下落率が20%を超えており、収益性の低下を背景にして投資家の期待が薄れている。
中東情勢の緊迫化も株価にとって重荷だ。イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナのガザ地区に対し、イスラエルは大規模な攻撃を開始。イスラエル軍は27日にガザ地区での地上での軍事作戦を拡大していると表明しており、7日のハマスによるイスラエル攻撃から始まった戦闘が激化している。こうした中で投資家はリスク回避姿勢を強めており、米個人投資家協会(AAII)の25日時点での週次調査によると、今後6か月の相場の見通しについて弱気な投資家の割合は43.2%となり、5月3日調査(44.9%)以来の高さとなった。
週明けは日銀やFRBの政策決定など重要予定が相次ぐ
週明け30日以降の株価は日米の中央銀行の政策決定や企業業績発表、経済指標で大きく上下しそうだ。
日本銀行をめぐっては、31日までの金融政策決定会合で、イールド・カーブ・コントロール(YCC)やマイナス金利政策といった大規模金融緩和策の再修正に向けて動くとの見方がある。また米連邦準備制度理事会(FRB)は11月1日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送ることが確実視されているが、今後の見通しについてどのような方向性を示すが焦点だ。さらに11月2日のアップル(AAPL)の2023年7-9月期決算発表や3日発表の米国の10月の雇用統計も市場の関心が高い。
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