オーストラリア中銀の利下げ見通しは? 2月は維持確実 豪ドル安も
オーストラリア準備銀行が6日の理事会後に示す金融政策の見通しが豪ドル円相場を豪ドル安方向に動かす可能性がある。
オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)は5、6日の理事会での政策金利据え置きが確実視されている。予想通りになれば2会合連続での政策金利維持。オーストラリアの物価上昇は減速が続いていることから、理事会後の声明やミシェル・ブロック総裁の記者会見で、利下げのタイミングについてどのような見解が示されるかが焦点になりそうだ。金融市場では8月の利下げが有力視されており、ブロック氏が利下げに前向きな態度を示せば、豪ドル安が進む可能性がある。
オーストラリア中銀は2月の政策金利維持が濃厚
RBAは6日午後2時30分(日本時間6日午前12時30分)に理事会の結果を発表する。また、結果発表の1時間後にはブロック氏の記者会見が予定されている。ロイターがまとめたエコノミスト調査では29人全員が政策金利の維持を予想。LSEGのデータでは、6日の政策金利据え置きについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間5日正午時点で約96%となっている。0.25%の利下げの確率も4%程度見積もられている。
RBAが政策金利を動かさないと考えられているのは物価上昇率の低下が進んでいるからだ。1月31日に発表された10-12月期の消費者物価指数(CPI)の総合指数の伸び率は前年同期比4.1%で、市場予想(4.3%)を下回った。7-9月期(5.4%)からも低下しており、RBAが目標とする2-3%の水準に向かっている。また、12月単月の総合指数の伸び率は前年同月比3.4%で、11月の4.3%から大幅に減速。果物、野菜、ガソリン、休暇旅行の費用を差し引いた指数の伸び率は4.1%で、こちらも11月(4.8%)から低下している。
RBAは11月の理事会で5会合ぶりの利上げを行って政策金利を4.35%にした後、12月理事会では改めて政策金利を据え置いた。今回の理事会でも政策金利を据え置き、物価上昇減速の先行きを見極めるものとみられている。
豪ドル円相場は円高傾向が強まる
豪ドル円相場(AUD/JPY)は10-12月期と12月のCPIが発表された1月31日に豪ドル安方向に大きく動いた。オーストラリアの物価上昇減速が豪ドル安圧力になったほか、日本銀行が発表した22、23日の金融政策決定会合での主な意見を受けて、マイナス金利政策解除への期待が強まり、円高圧力になっためだ。31日の豪ドル円相場の終値は1豪ドル=96.49円で前日から0.96円の円高豪ドル安。翌日の2月1日には一時、95.50円をつけた。5日の豪ドル円相場は1豪ドル=96円台半ばで取引されている。
2月の政策金利維持が確実視される中、市場の関心は今後の利下げ開始のタイミングについてどのようなメッセージが出されるかに集まっている。RBAは前回(12月)の理事会後の声明では「さらなる金融引き締めが求められるかどうかは経済指標とリスク判断の変化次第だ」として、必ずしも利上げによる金融引き締めが必要になるとは限らないとの立場を示唆していた。今回の理事会後の声明で、次の政策変更は利下げになるとの方向性が明確になることも想定されそうだ。またブロック氏が記者会見で、物価情勢や金融政策の先行きにどのような見解を示すかも注目される。
こうした中、金融市場が有力視するのは8月の利下げ開始だ。LSEGによると、8月の理事会後に政策金利が現状よりも低くなっている確率は約70%程度。RBAが市場の想定よりも早いタイミングでの利下げ開始を示唆すれば、オーストラリアの金利の先高観が弱まり、豪ドル円相場が豪ドル安方向に動く可能性がある。
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