米投資家心理、一気に弱気に S&P500下落要因 政治混乱も背景
個人投資の弱気の割合や恐怖指数は5月以来の高水準に。米国債格下げの理由にもなった政治の混乱も背景にありそうだ。
アメリカの株式相場に関する弱気な見方が拡大している。米個人投資家協会(AAII)のデータでは今後の先行きに弱気な投資家の割合が9月下旬以降に急拡大。投資家の不安度を示すとされるVIX指数も5か月ぶりの高さに達した。こうした弱気心理の台頭は8月に入ってからのS&P500種株価指数の値下がりの要因といえる。米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を高止まりさせる見通しに加え、米国政治の混乱の深刻化が投資家心理を暗くしている可能性もありそうだ。
株式相場に弱気な個人投資家の割合が41.2%に
AAIIが5日に発表した週次調査によると、今後6か月の相場の見通しについて弱気な投資家の割合は4日時点の集計で41.6%だった。5月3日(41.2%)以来の高水準で、歴史的な平均値である31.0%を大きく上回っている。一方、強気な投資家の割合は30.1%で、こちらは歴史的な平均値の37.5%を下回る状況が続く。
また、ウォール街の「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数(VIX)は4日に19.78まで上昇し、5月24日(20.03)以来の水準となった。5日は18.58まで下がったものの、9月15日につけた12.82から一気に上昇傾向が強まっている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出される数値で、数字が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを意味する。
S&P500の年初来の上昇率は10.9%まで縮小
投資家心理が弱気に傾く中、S&P500(SPX)は冴えない値動きが続く。5日の終値は前日比0.13%安と静かだったが、7月31日につけた直近の高値(4588.96)からの下落率は7.2%に達している。S&P500は6月末までの2023年上半期は16%上昇という歴史的な値上がりを記録したが、すでに今年の年初来の上昇率は10.9%まで縮小した。
S&P500の値下がりの背景には金利水準の上昇がある。長期金利(10年物米国債利回り)は8月以降、4%以上で推移しており、今月3日には16年2か月ぶりの高さとなる4.802%をつけた。FRBは9月20日に示した経済見通しで政策金利を2024年も高止まりさせる方向性を示し、高い金利水準が株式の投資先としての魅力を薄れさせる状況が長期化するとの見方につながっている。
米国債格下げや下院議長解任も投資家心理に悪影響か
また、投資家心理の悪化には米国政治の混乱が影響している可能性もある。AAIIの調査では、強気派の割合は6月1日に議会で債務上限引き上げ問題が決着した後、40%超まで上昇。しかし政治の混乱が理由のひとつとなって米国債が格下げされた8月以降は強気派が後退した。さらに米国史上初の下院議長解任に至った2024会計年度予算をめぐる議会の機能不全が9月下旬以降の投資家心理をいっそう悪化させたとの見方もできる。
米国の株式市場は6日発表の9月雇用統計への注目度が高まっている状態。労働市場の過熱感緩和が示されると予想されているが、株式市場の反応は投資家心理の悪化に影響される側面もありそうだ
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