ドル高圧力弱まる? 日米金利差じわり縮小 ドル円相場の見通しに変化も
日米の金利差は4月上旬以来の低さに縮小。米国の金利低下と日本の金利上昇が同時進行した結果で、円高ドル安要因として働いている。
ドル円相場でのドル高圧力として働いてきた日米の金利差がじわじわと縮小している。9日の水準は3.5%ポイント程度で、4月上旬以来の小ささ。アメリカの長期金利(10年物米国債利回り)の低下と日本の長期金利上昇が同時に進んでいるためで、3日の4月雇用統計発表が変化のきっかけのひとつになったようだ。一方、このところのドル円相場では円安が急進する場面があり、日本政府の為替介入とみられる値動きを招いている。10日のドル円相場は1ドル=155円程度で推移しているが、今後も日米金利差が縮小していけば、ドル円相場の見通しが円高に傾く可能性もある。
日米の金利差は4月上旬以来の小ささ
LSEGのデータによると、9日の日米の長期金利の差は3.541%ポイントで、4月4日(3.534%ポイント)以来の低さ。4月30日に記録した3.812%ポイントからじわじわと縮まっている。この間、米国の長期金利は4.684%から4.449%まで低下。日本の長期金利は0.872%から0.908%まで上がっており、米国の金利低下と日本の金利上昇が金利差の縮小につながったといえる。
日米金利差縮小のきっかけのひとつが3日発表の4月雇用統計だ。非農業部門の就業者数の増加幅が前月比17.5万人となり、3月(31.5万人)から大きく低下する内容で、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待をつないだ。
また、日本の長期金利上昇の要因としては、日本銀行の金融政策の見通しが利上げ方向に動いたことがある。日銀は26日に公表した経済見通しで、2024年度の消費者物価指数の上昇率を上方修正。長期金利は0.920%まで上がり、11月1日(0.956%)以来の高さを記録していた。また、5月9日に発表されたこの決定会合での主な意見では、「正常化のペースが速まる可能性は十分にある」といった、利上げに前向きな意見が相次いでいたことも分かっている。
ドル円相場では為替介入か 円安の見通しに変化も
一方、このところのドル円相場(USD/JPY)では、円安圧力が高まる局面もあった。日本が休日だった4月29日には約34年ぶりの円安水準となる1ドル=160.03円をつけている。26日の日銀の植田和男総裁の記者会見が利上げの難しさを意識させるトーンだったことが背景にある。
ただ、こうした円安の動きに日本政府は神経を尖らせているようだ。29日の160円台到達の数時間後には為替介入とみられる値動きで、ドル円相場では154円台まで円高が急進。日本政府は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表された5月1日にも為替介入を行ったとみられ、4月雇用統計が発表された5月3日には151.85円まで円高が進んだ。この5日間の値幅は8円を超えている。
10日のドル円相場は155円台で推移しており、急激に進んだ円高への反動が出ているようだ。とはいえ、米国で15日に発表される4月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇の減速がみられるなどすれば、改めて米国の長期金利が低下する可能性もあり、2024年に入ってから続いてきた円安の見通しが円高方向に転換することも考えられる。
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