日経平均、急落止まらず 3週で2500円安 米雇用統計は沈静化?
日経平均はアメリカ金利上昇で3週続落。一方、米雇用統計は賃金上昇減速もみられ、S&P500は5週ぶりに反発した。
日経平均株価の下落が止まらない。6日の終値は3万1000円を割り込み、3週連続での1週間前比マイナスを記録。この間の下落幅は2500円を超え、バブル後最高値更新目前から一気に転落した形だ。9月20日に米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を高止まりさせる方向性を示したことで、アメリカの長期金利(10年物米国債利回り)上昇が加速し、投資家心理を冷やしている。一方、6日発表の米国の9月雇用統計は労働市場の過熱を示すと同時に、賃金上昇の減速も感じられた。S&P500種株価指数は小幅ながら5週ぶりに週次での反発をみせているが、依然として先行きは不透明だ。
日経平均は3週続落でバブル後最高値目前から転落
日経平均(N225)の6日の終値は3万0944.67円。1週間前比では862.95円安となり、週次で3週続落という結果となった。この間の下落幅は2538.40円で、バブル後最高値まであと200円に迫った9月15日の3万3533.09円から、一気に7.6%の下落に見舞われた形だ。
日経平均急落のきっかけとなったのは、FRBが20日までの連邦公開市場委員会(FOMC)後に示した経済見通しだ。現在、5.25-5.50%に設定されている政策金利を、2024年末でも5%超で高止まりさせる方向性が示され、FRBが年明け早々にも利下げに舵を切るという楽観論が後退した。それまで4.3%台だった長期金利はFRBの見通し発表を境に上昇が加速し、10月3日には16年2か月ぶりの水準となる4.802%まで上がった。米国の金利上昇は米国の株価の先行きを暗くし、日本株にとっても下落圧力となっているようだ。
アメリカの9月の雇用統計は就業者数が大幅に増加
こうした中、日本時間の6日夜に発表された米国の9月の雇用統計は労働市場の過熱が感じられた。非農業部門の就業者数は前月比33.6万人増。事前予想の17万人増を大きく上回った。また、7月の増加幅は15.7万人から23.6万人に、8月の増加幅も18.7万人から22.7万人に上方修正されている。失業率は3.8%で8月と同じ数字。平均時給の前年同月比伸び率は4.2%で、8月(4.3%)からわずかに低下するにとどまった。
労働市場の強さを示すデータは、賃金上昇が物価上昇圧力として働いている構図を裏付ける結果だ。金融市場ではFRBが政策金利を高止まりさせる確度が高まったとして、6日のニューヨーク債券市場の長期金利は一時、4.887%まで上昇した。
平均時給を3か月前比でみると低下傾向も
しかし9月の雇用統計では賃金上昇の減速も感じられている。9月の平均時給を3か月前と比べると0.8%の増加。年率換算では3.4%に相当する数字だ。8月の3か月前比伸び率(年率換算4.4%)と比べると、低下傾向がみてとれる。賃金上昇が落ち着いているのであれば、物価上昇圧力が弱まるとの見方も成り立つ。6日の長期金利は最終的には4.782%となった。
こうした中、S&P500(SPX)の6日の終値は前日比1.2%高の4308.50だった。1週間前比では0.5%高となり、5週間ぶりのプラスだ。すでに長期金利が高水準に達していることから、FRBは政策金利を現状以上に引き上げる必要性が薄れているとの観測もある。
とはいえ、FRBは米国の物価上昇の根強さに対する警戒を解いておらず、政策金利が高止まりする方向性に大きな変化は出ていない。株式相場の先行きは12日発表の9月の消費者物価指数(CPI)の結果でも大きく左右されることになりそうだ。
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