米国株に金利の壁 S&P500停滞 FOMC後に半導体株再上昇?
FRBがFOMCで利下げ姿勢を後退させればS&P500の重荷に。ただしFRBのメッセージが想定内であれば株価上昇再開も。
アメリカの株式相場が金利上昇に苦しんでいる。S&P500種株価指数の3月に入ってからの上昇率は1%程度で、2月の勢いからは減速気味。一方、長期金利(10年物米国債利回り)は3か月半ぶりの水準まで上がっており、株価の足を引っ張っている。米国経済をめぐっては米連邦準備制度理事会(FRB)が20日までの連邦公開市場委員会(FOMC)に際して、利下げへの態度を後退させる可能性があり、金利の先高観が株価の重荷になっているようだ。ただ、FRBの情報発信が想定内であれば、今後、米国の株式相場を引っ張ってきた半導体株を含めた株価上昇が再開する筋書きもありえる。
S&P500はアメリカの長期金利上昇が重荷に
S&P500(SPX)は18日に4営業日ぶりに反発。終値は前日比0.63%高の5149.42になった。直前の3営業日での下落幅の約半分を取り戻したものの、3月に入ってからの上昇率は1.04%と控えめで、2月に記録した5.17%高からの減速が感じられる。
S&P500にとって重荷となっているのは長期金利の上昇だ。18日のニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.340%で、11月30日(4.350%)以来の高さとなった。長期金利は18日まで6営業日連続で上昇しており、株式の投資先としての魅力を相対的に低める結果となっている。
FRBはFOMCで利下げ姿勢を後退させる可能性も
こうした中、市場の関心はFRBが20日までのFOMC後に発表する声明や、ジェローム・パウエル議長の記者会見でどのようなメッセージを出すかに集まる。金融市場では、FRBがFOMCで政策金利を5.25-5.50%で維持することが確実視されているが、同時に今後の利下げに対する慎重姿勢を示せば、さらなる金利上昇を招いて株価を下押しする可能性があるからだ。
パウエル氏は1月31日のFOMC後の記者会見では3月の利下げ開始を否定し、この日のS&P500は1.61%安となった。パウエル氏が今回の記者会見で、足元で期待されている6月利下げを否定すれば、同様の株価下落につながる可能性もある。また、FOMC後に公表される経済見通しで、FRBが見込む2024年末までの利下げの回数が少なくなれば、やはり株安につながりそうだ。FRBは12月のFOMC後に示した経済見通しでは、2024年の利下げ回数が3回になるとの方向性を示していた。
米国経済をめぐっては、8日に発表された2月雇用統計で失業率が2年1か月ぶりの高さとなり、経済の今後の底堅さを疑わせる結果となった。ただ、12日に発表された2月消費者物価指数(CPI)は市場予想を超える高さとなり、物価上昇の根強さを感じさせている。今後、経済の失速と物価上昇の高止まりが同時に起きるリスクが高まっていけば、FRBにとっては最悪のシナリオだといえる。
半導体株の上昇にもブレーキ
こうした不安は急成長が期待されている半導体株の上昇にもブレーキをかけている。半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の株価は2月雇用統計が発表された8日から18日までに4.55%下落。同じく半導体大手のブロードコム(AVGO)やアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)も同じ期間で、それぞれ12.07%安、9.81%安となっている。
ただし米国の半導体株の上昇の背景にある、人工知能(AI)の普及が半導体需要を急増させるとの期待は揺らいでいない。FRBからの情報発信が想定の範囲内と受け止められた場合は、半導体株やS&P500が今後、勢いを取り戻す展開も考えられそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。