米国株、見通し暗転 S&P500が3日続落 大統領選挙への警戒か
S&P500は長期金利上昇が逆風となり1か月半ぶりの3日続落。大統領選挙と上下両院の選挙で共和党が勝利するとの見通しが警戒感につながっている。
アメリカの株式市場の見通しが暗転している。S&P500種株価指数の23日の終値は3日続落の前日比0.92%安。大手ハイテク株や半導体株がそろって値下がりし、相場のムードを重くした。長期金利(10年物米国債利回り)は3日連続で上昇しており、株式市場の逆風になっているようだ。11月5日に迫った米大統領選挙をめぐっては共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利するとともに、共和党が上下両院で多数派を獲得するともみられており、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げがスローペースになる可能性もある。S&P500の今後の見通しめぐる投資家の不安は高まっているようだ。
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アメリカのS&P500は3日続落 1か月半ぶりの悪い記録
S&P500(SPX)の23日の終値は5797.42。3日連続の値下がりで、18日につけた最高値(5864.67)からの後退が進んだ。3日間での下落率は1.15%でさほど大きくはないとはいえ、3日続落は9月6日までの4日続落以来、約1か月半ぶりの悪い記録とあって、S&P500の見通しの悪さが強まった。
大手ハイテク株がそろって下落 マグニフィセント・セブンが不振
ムードの悪さは2024年7-9月期の決算発表シーズンに入った大手ハイテク株の値動きからも感じられる。30日に決算を発表するメタ・プラットフォームズ(META)は23日に前日比3.15%安。アマゾン・コム(AMZN)も2.63%安となった。両社を含めたマグニフィセント・セブンと呼ばれる7社の株価は23日にそろって下落しており、やはり9月6日以来の不振となった。ただ、電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)は23日の取引時間終了後に好決算を発表し、時間外取引で株価が急騰している。
エヌビディアの株価上昇にブレーキ 半導体株の見通し悪化
また、人工知能(AI)ブームへの期待に沸いてきた半導体株も、このところは様子が一変している。マグニフィセント・セブンの一角である半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の23日の終値は前日比2.81%安。エヌビディアは15日に伝わったオランダ半導体製造装置大手ASMLホールディング(ASML)の7-9月期決算が市場の失望を招いてからも堅調な値動きだったが、ここにきて上昇にブレーキがかかった。ASMLと同業のアプライド・マテリアルズ(AMAT)は15日以降の7営業日で14.58%下落。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)も同じ期間で7.48%下落している。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)もこの7営業日で11.99%安となった。
大統領と上下両院の選挙は共和党の勝利か 長期金利上昇要因に
株式市場の重荷となっているのは長期金利の上昇だ。LSEGによると、長期金利の23日のニューヨーク債券市場での終値は4.242%で、3日連続での上昇。7月25日(4.256%)以来の高さとなった。金利水準の上昇は株式の投資先としての相対的な魅力を落とす株安の要因とされる。
金利高の背景には米国政治の見通しが関わっていそうだ。米政治サイト、リアル・クリア・ポリティクスによる各種世論調査のまとめでは、共和党候補のトランプ氏が接戦州での戦いで、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を上回っているもよう。株式市場では「トランプ銘柄」が急騰している。現在は民主党が多数派の上院でも共和党の多数派奪還が目され、下院での多数派も共和党が維持する見通しとなっている。共和党が大統領と上下両院を独占すれば、減税などによる景気刺激策が成立しやすくなり、物価上昇圧力になることも考えられる。この場合、9月に利下げに踏み切ったばかりのFRBが、追加利下げに慎重になることも想定されそうだ。
こうした中、S&P500の今後の見通しについて投資家の不安は高まっている。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の23日の終値は19.24まで上昇し、4営業日ぶりの19台。VIX指数の上昇はS&P500の今後の値動きが大きくなることへの警戒感の表れで、大統領選挙と上下両院選挙の動向が2025年以降の政治情勢の急変を予感させることが投資家心理に影響していると考えられる。
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